明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなど

万人敵・震天雷・流星錘……バラエティ豊かな中国史上の兵器を網羅した『Truth in FantasyⅧ 武器と防具 中国編』

武器と防具〈中国編〉 (Truth In Fantasy) 作者: 篠田耕一 出版社/メーカー: 新紀元社 発売日: 1992/05/01 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (4件) を見る 表意文字である漢字の強みは、字面だけで雰囲気を出せることだ。中国…

大英帝国の中でハイランダーはどう生きたか──井野瀬久実恵『大英帝国という経験』

興亡の世界史 大英帝国という経験 (講談社学術文庫) 作者: 井野瀬久美惠 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/12/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る これは興亡の世界シリーズの中でも注目されるべき一冊であるように思う。というのは、本書で…

観応の擾乱に災害が及ぼした影響とは?亀田俊和『観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』を読んで

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書) 作者: 亀田俊和 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/07/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る あとがきに書いているように、著者の亀田俊和氏は天邪鬼な…

阿部正弘という人物をどう評価するか?半藤一利・出口治明『明治維新とは何だったのか』

明治維新とは何だったのか 世界史から考える 作者: 半藤一利,出口治明 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2018/04/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 幕末史や昭和史に関する著書を多数発表している半藤一利氏と世界史の著作の多い出口治明氏の…

アイドルマスターKRを観始めた(1~3話の感想)

せっかくアマゾンプライムに入っているのだからなにか面白いドラマでもないかな、と思って探していたら、アイドルマスターKRなるものが存在していることを初めて知った。実写版のアイマスだが、これが意外と評判がいいらしい。 このダンスなどはゲームの動き…

ヒアリなんて序の口!「痛みの鑑定人」昆虫学者が虫刺されの痛みを科学する『蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』

蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ 作者: ジャスティン・O・シュミット,今西康子 出版社/メーカー: 白揚社 発売日: 2018/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「○○してみた」もここまでくると命がけだ。「痛みの鑑…

石ノ森章太郎『マンガ日本の歴史』で中世史を学ぶ

岩波新書の『後醍醐天皇』を読もうとしたがあまり内容が頭に入ってこない。南北朝時代の基本的な史実が頭に入っていないせいだ。こういうときはビジュアルがあるものがいいだろうというわけで、石ノ森章太郎『マンガ日本の歴史』を手にとってみた。このシリ…

陳舜臣『中国の歴史』は中国史入門としておすすめの本

中国の歴史(一) (講談社文庫) 作者: 陳舜臣 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1990/10/08 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (10件) を見る ある国の歴史を知ろうとしたとき、入り口としては概説書と小説があります。 概説書の…

超高速!参勤交代リターンズ(ネタバレ感想)

超高速! 参勤交代リターンズ [DVD] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2017/02/08 メディア: DVD この商品を含むブログ (8件) を見る 参勤交代の帰りの話なので前作と似たようなストーリーになってしまうのでは……?と思っていたが、前作のような強行軍は話半ば…

塩野七生『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』におけるアレクサンドロス大王の評価について

ギリシア人の物語III 新しき力 作者: 塩野七生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/12/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ギリシア人の物語の最終巻となるこの巻では、ペロポネソス戦争が終わり、ペルシアに翻弄されて混迷を深める…

骨無しチキンの楽園

はてなブックマークをなくすべきだとかなくすべきでないだとかいう議論を目にしましたが、まあ、1ユーザーがどうこう言ったところで結局なくなりはしないだろうし、多少仕様に変更が見られたとしても、1年後も大して代わり映えのしない光景が繰り広げられて…

直木賞候補作家・上田早夕里の『夢みる葦笛』はSF初心者にもおすすめできる短編集

夢みる葦笛 作者: 上田早夕里 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2016/09/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 上田早夕里『破滅の王』が第159回直木賞の候補に選ばれた。こちらは歴史小説だが、最近SFが読みたい気分だったので同じ作者の…

北方謙三『チンギス紀』はモンゴル考古学者・白石典之の研究を参考にしている?

チンギス紀 一 火眼 作者: 北方謙三 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 『水滸伝』から『楊令伝』を経て『岳飛伝』に至る壮大なサーガを語り終えた北方謙三が次に挑むのがチンギス・カンの生…

中公文庫『日本の歴史』の面白い巻をおすすめしてみる

古いながらもいまだに多くの人に愛読されている中公文庫『日本の歴史』シリーズ。日本史の入門書として紹介されることも多いし、実際に内容は充実しているのだが、この詳しさが逆にこれから手に取る人をたじろがせる原因になるかもしれない。もっと簡潔な日…

シリーズ日本古代史5『平安京遷都』に見る武士の起源

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書) 作者: 川尻秋生 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (13件) を見る 平安時代は今ひとつ日本人にとってなじみがない。時代区分で…

日本史のおすすめ本を20冊紹介してみる

手元の概説書や新書、読みやすい専門書などの中から面白く読める日本史のおすすめ本を選んでみました。受験に役立つ内容ではありませんが、面白いだけでなく何かしら得るところのあるものを選んでいます。今後の読書の参考までにご覧ください。 中公文庫 日…

青木崇高の演じる島津久光と後藤象二郎のコンプレックス

先回の西郷どん「偉大な兄 地ごろな弟」で青木崇高が演じた島津久光は、斉彬に対して強いコンプレックスを抱いているらしい。その証拠に、国父様は薩摩を出たことがない、松平春嶽などとの人脈もないと言って率兵上京を止めようとする西郷に対し、顔をひきつ…

知恵泉の山本博文さんが橋爪大三郎・大澤真幸さんの『げんきな日本論』に突っ込んでいる件

山本博文さんの名前を知らない方も、NHKの番組「知恵泉」に出演している歴史の先生といえば顔が思い浮かぶ方もいるかもしれません。 歴史の勉強法 確かな教養を手に入れる (PHP新書) 作者: 山本博文 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2017/11/16 メディア…

磯田道史『江戸の備忘録』には磯田史学のエッセンスが詰まっている

江戸の備忘録 (文春文庫) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/11/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る よく「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」などと言われる。 『江戸の備忘録』は磯田道史の処女作ではな…

信長の政治は同時代人にどう見られていたのか?を神田千里『戦国と宗教』に探る

戦国と宗教 (岩波新書) 作者: 神田千里 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/09/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 神田千里氏の『戦国と宗教』は一向一揆やキリシタン大名、戦国の「天道」思想など戦国時代の宗教について語っている…

司馬遼太郎のおすすめ作品は『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読むとわかる

「司馬遼太郎作品はただのフィクション」と切り捨ててよいか 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517) posted with ヨメレバ 磯田 道史 NHK出版 2017-05-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 7net 司馬遼太郎という人は特別な作家です。多くの人は…

ヒトラー最期の12日間(ネタバレ感想)

ヒトラー 最期の12日間 [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2015/07/02 メディア: DVD この商品を含むブログ (6件) を見る あまりにもあちこちでネタにされすぎている映画だが、やはり観てよかった。重苦しい場面が多く、カタルシスなどまったく得られな…

磯田道史のおすすめ本ベスト1は『無私の日本人』では他の本はどうか

磯田道史氏はNHKBS「英雄たちの選択」の司会であり、『西郷どん』の時代考証も担当している。現代の歴史学者としては一番名前が知れている人かもしれない。テレビで見かける巧みな比喩を用いたわかりやすい解説は著書でもそのままで、歴史書としては無類の読…

『殿、利息でござる!』は何が本当にすごいのか(ネタバレ感想)

磯田道史氏のファンなら、彼がどこに出演しているのか探してみるのも楽しい。 殿、利息でござる! [DVD] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2016/10/05 メディア: DVD この商品を含むブログ (10件) を見る 殿、利息でござる! [Blu-ray] 出版社/メーカー: 松竹 発…

新元号の公表日が2019年4月1日なのは「二重権威」を避けるため?

this.kiji.is なぜ、もっと早く新元号を公開してはいけないのか……という疑問はどうしても出てくるのですが、5月17日の朝日新聞の記事にはこう書かれています。 www.asahi.com 政府は当初、改元の準備期間を長くとるため今夏ごろの公表を検討。しかし、新元号…

チンギス・カンは「鉄の申し子」だった──白石典之『チンギス・カン "蒼き狼"の実像』

チンギス・カン―“蒼き狼”の実像 (中公新書) posted with カエレバ 白石 典之 中央公論新社 2006-01 Amazon 楽天市場 Yahooショッピング シヴィライゼーションをプレイした人なら誰でも理解できるのは、資源の重要性だ。プレイ初期に銅や鉄などの重要資源を確…

始皇帝研究の最前線に触れられる。『キングダム』愛読者にもおすすめの『人間・始皇帝』

人間・始皇帝 (岩波新書) 作者: 鶴間和幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る 講談社の中国の歴史シリーズの『ファーストエンペラーの遺産』の著者でもある鶴間和幸氏が始皇帝についての最新…

歴史小説のおすすめ本を20作選んでみる(戦国時代編)

戦国時代という素材は小説ではすでに書きつくされているような印象もありますが、探せばまだまだ面白い作品が見つかるものです。ここでは戦国時代を扱った小説本でおすすめの作品を15作選んでみました。 1.国盗り物語 国盗り物語1~4巻完結セット 発売日: 1…

不法移民のリアルを余すところなく描き出す渾身のルポ『ルポ不法移民 アメリカ国境を超えた男たち』

ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち (岩波新書) 作者: 田中研之輔 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/11/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る これは読み進めるのがしんどい。だが一番辛いのは、本書に登場する不法移民たち…

和田竜『忍びの国』感想:忍者の本質とは何か?

忍びの国 (新潮文庫) 作者: 和田竜 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/02/26 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (43件) を見る 本作で『のぼうの城』の和田竜が描き出す忍者の世界は、とかく世知辛い。 同じ伊賀の中ですら平…