明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

映画『グレイテストショーマン』と「バーナム効果」

グレイテスト・ショーマン (字幕版) 発売日: 2018/05/09 メディア: Prime Video この商品を含むブログ (1件) を見る あっという間の一時間40分だった。小人症の「親指トム」やひげの生えた女性で圧倒的な歌唱力を誇るレティ、顔中に毛の生えた「犬少年」、シ…

映画『キングダム・オブ・ヘブン』感想:史劇ファン必見の超大作!

キングダム・オブ・ヘブン/ディレクターズ・カット (2枚組) [AmazonDVDコレクション] 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 発売日: 2018/03/16 メディア: DVD この商品を含むブログを見る まさしく重量級。村の鍛冶屋…

映画『マイケル・コリンズ』感想:アイルランド独立の闘士の生涯はひたすらに重い

マイケル・コリンズ [Blu-ray] 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 発売日: 2016/04/06 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る ひたすら苦く、重苦しい。 リーアム・ニーソン演じるアイルランド独立運動の闘士マイケ…

映画『第九軍団のワシ』感想:ローマ軍人とブリガンテス族の少年の友情を描いた良作

第九軍団のワシ スペシャル・エディション [DVD] 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 発売日: 2013/11/08 メディア: DVD この商品を含むブログ (5件) を見る 最近の作品に比べれば地味な映画だが、とても良かった。 サトクリ…

水戸藩にラーメンが伝わった事情とは?『水戸黄門の食卓 元禄の食事情』

水戸黄門の食卓―元禄の食事情 (中公新書) 作者: 小菅桂子 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1992/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 現在では室町時代にすでにラーメンが食べられていたことが知られていて、水戸光圀は「日本で最初に…

映画『アレクサンドリア』(ネタバレ感想)

アレクサンドリア [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2016/12/02 メディア: DVD この商品を含むブログ (2件) を見る ここまでキリスト教の負の側面をはっきり描いている映画もあまりないんじゃないかなぁ……というのが正直な感想。『クォ・ヴァディス』…

明・清と同時代のモンゴルやチベットの歴史を知りたい人におすすめの講談社学術文庫『紫禁城の栄光』

紫禁城の栄光―明・清全史 (講談社学術文庫) 作者: 岡田英弘,神田信夫,松村潤 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/10/11 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (14件) を見る 明・清代の歴史の概説書としては講談社の中国の歴史シ…

感想をもらっても返さない側の言い分

anond.hatelabo.jp 私はまったく無名の人間だけれど、ウェブで小説めいたものを何年も書いていれば感想ももらうことはあるし、時にはほめてもらえることもある。でも、私はほめてくれた人が作者の場合、こちらもお礼に読みに行ってほめなければ、とは思わな…

『魔法少女まどか☆マギカ』を今頃観て「名作を後から知るメリット」について考えた

魔法少女まどか☆マギカ 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray] 出版社/メーカー: アニプレックス 発売日: 2011/04/27 メディア: Blu-ray 購入: 49人 クリック: 2,703回 この商品を含むブログ (348件) を見る アマゾンのレビューで、この作品について「放映当時、こ…

門井慶喜『かまさん』感想:函館共和国が敗北した理由とは何か

かまさん 榎本武揚と箱館共和国 (祥伝社文庫) 作者: 門井慶喜 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2016/10/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 榎本武揚といえば、私は『土方歳三最後の一日』で片岡愛之助が演じていたあのきざったらしい男…

「肉食」をキーワードとした比較文明論『肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見』は中公新書屈指の名著

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92)) 作者: 鯖田豊之 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1966/01/01 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (20件) を見る 初版は1966年と古いですが、これは何年経っても色褪せ…

セミの抜け殻を取られたので切腹!氏家幹人『江戸藩邸物語』が描く武士道の実態

江戸藩邸物語―戦場から街角へ (中公新書) 作者: 氏家幹人 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1988/06 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (5件) を見る 『応仁の乱』のヒット以降室町時代にスポットライトが当たっているためか…

石川博品『先生とそのお布団』がいろいろと刺さりまくったので感想を書く

先生とそのお布団 (ガガガ文庫) 作者: 石川博品 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2017/11/24 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (4件) を見る 泣けるだけの小説なら世の中にはいくらでもあるし、この『先生とそのお布団』も、ラストに泣ける部分はち…

創作は人を幸せにするか

anond.hatelabo.jp 最近、創作で人は幸せになれるのだろうか、とよく考える。好きな話を書いたはいいものの全然読んでもらえず嘆いている人や、公募に挑戦し続けているものの落選続きで苦しんでいる人をたくさん見かけるからだ。 結果を出せない無念さが自分…

伊東潤『幕末雄藩列伝』を読んで幕末維新の人物評価の難しさについて考えた

幕末雄藩列伝 (角川新書) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/11/10 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 直木賞作家・伊藤潤さんが幕末の十四の藩をとりあげ、その動向について解説している本。薩長土肥など勝ち組から会津・庄内…

人は何者かになる必要はない。

anond.hatelabo.jp 文章のひとつひとつが詩的すぎるのでフィクションの可能性も高いですが、仮にここに書かれていることが本当だとして。 私がこういうものを読んだとき、いつも思い出す文章があります。それが、こちらのエントリで引用されている為末学さん…

江戸時代の百姓の暮らしが裁判でわかる。渡辺尚志『武士に「もの言う」百姓たち』

武士に「もの言う」百姓たち―裁判でよむ江戸時代 作者: 渡辺尚志 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2012/12/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 近代以前では、裁判の記録は庶民の生活を知る重要な手がかりになります。とくに江戸時代で…

土橋章宏『幕末まらそん侍』(映画サムライマラソン原作)感想:安心して楽しめるエンタメ時代小説

幕末まらそん侍 (ハルキ文庫) 作者: 土橋章宏 出版社/メーカー: 角川春樹事務所 発売日: 2015/06/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 時代小説というジャンルに期待することがあります。それは、良い人間には良いことがあり、悪い人間には…

『決戦!新撰組』感想:シリーズ中でも読みやすい。幕末小説ファンにはおすすめの一冊

決戦!新選組 作者: 葉室麟,門井慶喜,小松エメル,土橋章宏,天野純希,木下昌輝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/05/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 歴史アンソロジー小説の決戦!シリーズも読んだのはこれで5冊目にな…

ヤグノブ人とソグドに関するメモ

BSプレミアム「シルクロード謎の民 大渓谷に生きる」でヤグノブ人のドキュメンタリーを放映していた。主に伝統的な牧畜を生業としているヤグノブ人だが、ヤグノブの言葉にはソグドごと共通する単語が300以上あるのだという。結婚式のときに新郎新婦が火の周…

自己責任論を押し付けられる明治時代は本当にしんどい。松沢裕作『生きづらい明治社会 不安と競争の時代』

生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書) 作者: 松沢裕作 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る これは間違いなく名著。岩波ジュニア新書には時折「これはどう見ても大人向けで…

後醍醐天皇が明治維新に与えた巨大な影響を描く兵藤裕己『後醍醐天皇』

後醍醐天皇 (岩波新書) 作者: 兵藤裕己 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/04/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 後醍醐天皇の評伝としては最も新しい本。どうしても太平記のイメージに引きずられがちな人物ですが、本書を読めば後…

NOVA2019春号感想:格ゲー好きな人におすすめの作品も収録

NOVA 2019年春号 (河出文庫 お 20-13) 作者: 大森望 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/12/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 『GENESIS 一万年の午後』も最近出たSFアンソロジーだが、ファンタジー作品も収録されて…

伊東潤『江戸を造った男』感想:川村瑞賢の仕事はもっと知られるべき

江戸を造った男 (朝日文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2018/10/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 見事に生きるとはどういうことか、その答えのひとつがここにある。 河村瑞賢。教科書などで一度は耳にしたことのある…

明晰夢工房選・2018年のおすすめ新書ベスト5

今年もいろいろな本を読みましたが、今年読んだ本ではとくに新書が豊作だったので、2018年に発売された新書のベスト5を紹介します。このブログなのでどうしてもジャンルが歴史系に偏りますがそこはご容赦を。 呉座勇一『陰謀の日本中世史』 saavedra.hatenab…

『GENESIS 一万年の午後』感想:これはSF初心者にもおすすめできる粒揃いのアンソロジー

Genesis 一万年の午後 (創元日本SFアンソロジー) (創元日本SFアンソロジー 1) 作者: 堀晃ほか 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/12/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る カクヨムに公開されている名作短編『森島章子は人を撮らない』の…

『決戦!関ヶ原』感想:シリーズ第一作として十分な出来栄え

決戦!関ヶ原 作者: 葉室麟,冲方丁,伊東潤,上田秀人,天野純希,矢野隆,吉川永青 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/11/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (5件) を見る 歴史アンソロジー集として8作目まで出版されている決戦!シ…

蜀という「ブラック国家」の実態を描く『劉備と諸葛亮 カネ勘定の「三国志」』

劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』 (文春新書) 作者: 柿沼陽平 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/05/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 帯では『三国志の「英雄」は全員悪人!?』と煽っていますが、読んでみるとそれほど劉備や…

キットカットに溝が刻まれているのはなぜ?『チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』でたどるチョコレートの歴史

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書) 作者: 武田尚子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2010/12/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (26件) を見る これ一冊でアステカ帝国時代か…

国立アイヌ民族博物館が2020年4月白老町ポロト湖畔にてオープン予定

企画展 キムンカムイとアイヌ 先週末、「キムンカムイとアイヌ」という企画展に行ってきました。 「キムンカムイ」とはアイヌ語で「山にいる神」の意味で、ヒグマのことを指します。 アイヌのマキリ(小刀)は美術品としての価値も高いのですが、今回は写真…