明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

【感想】戊辰戦争で百姓がどう戦ったかよくわかる『百姓たちの幕末維新』

文庫 百姓たちの幕末維新 (草思社文庫) 作者:尚志, 渡辺 発売日: 2017/04/04 メディア: 文庫 日本人の8割をしめた百姓たちは、幕末維新をどう戦い、生き抜いたのか。本書『百姓たちの幕末維新』を読めば、激動の時代を百姓たちがどうサバイバルしたかがよく…

【書評】出口治明『人類5000年史Ⅲ』

人類5000年史 III (ちくま新書) 作者:治明, 出口 発売日: 2020/03/06 メディア: 新書 人類5000年史のシリーズもこれで3冊目となった。この巻では東洋史では宋からモンゴル帝国のユーラシア制覇、そして明王朝までが語られ、西洋史は中世ヨーロッパ世界の成立…

カーネギー『人を動かす』が語るリンカーンの煽りスキルの凄さ

人を動かす 文庫版 作者:D・カーネギー 発売日: 2016/01/26 メディア: 単行本 若き日のリンカーンは煽りの達人だった D・カーネギー『人を動かす』はタイトル通り、人を説得するノウハウの書かれた実用書だ。だがこの本は読み物としてもなかなかおもしろい。…

アマプラで『少女終末旅行』を観ていたらすっかり絶望と仲良くなった

『少女終末旅行』は癖になる 「星空」「戦争」 発売日: 2017/10/13 メディア: Prime Video このアニメ、最初は「きれいなfallout?」と思っていた。ユーリとチトが食料をみつけたり魚を食べていたりするたびに、いかんRAD値上がるぞ、なんて考えていた。fall…

世界史の流れを商業ネットワークから理解できる『教養のグローバル・ヒストリー』が面白い

教養のグローバル・ヒストリー:大人のための世界史入門 作者:北村 厚 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2018/05/11 メディア: 単行本 グローバルヒストリーに基づく世界史入門として最適 1冊だけで「世界史の流れ」をおさえられる本はないものか、と…

ヒジャブ姿で日本のアニソンを歌うインドネシアのユーチューバー・RainychRan

先日、ユーチューブで女王蜂の動画を観ていたら関連動画にこれが出てきた。少し舌足らずで透明感のある歌声に一瞬で心をつかまれ、気がついたらほぼすべての動画を再生していた。 日本のアニソンを歌う人は世界中にいるが、イスラム圏の人を見たのははじめて…

dTVチャンネルの番組『歴史のじかん』がなかなか濃くて面白かったので感想を書く

山崎怜奈さんが司会を務めるdTVチャンネル『歴史のじかん』 れな歴ご視聴ありがとうございました!番組の感想は#歴史のじかんか#れな歴をつけて呟いて下さい!次回のテーマは『上杉謙信』!戦国武将イチの軍神と恐れられるも、意外に恐くない?素顔に山崎さ…

太古の昔、ブログは「文学」だった。

p-shirokuma.hatenadiary.com amamako.hateblo.jp 今日はこちらのエントリを読んで思ったことなどを。 ブログに商業化の波がやってくる前、この世界はただリアルには出せない、自分の思いのたけをぶつけるだけの場所だったように記憶している。もちろん観測…

【感想】高橋源一郎『一億三千万人のための「論語」教室』の訳が自由過ぎる件

一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書) 作者:高橋源一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/10/26 メディア: 単行本 高橋源一郎さんによる『論語』の全訳なんですが、この訳はまぁ、なんというか……かなりぶっ飛んでますね。高橋さんはこれ…

「小説にだけあってマンガや映画やアニメにはない魅力」を示せる人ってなかなかいないよね、という話

小説と同じメリットが漫画にもアニメにもある 小説は君のためにある (ちくまプリマー新書) 作者:藤谷 治 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/09/06 メディア: 新書 藤谷治さんの『小説は君のためにある』を読みました。 若い読者に向けて、小説の魅力を…

麒麟がくる2話「道三の罠」感想:織田信秀の経済力描写の細かさについて

今回は合戦の描写にかなり力が入っていた。 斎藤軍四千vs織田軍二万と数字上は織田軍が大きく上回っているが、斎藤道三は織田軍の大部分が金で集めた兵であることを知っているので少しも動じることがない。 今回、ドラマの冒頭で道三は孫子の一節をわざわざ…

ブログで自分語りをしてもいいという話と、感想コンテンツの特殊性について

ブログで自分語りをしてはいけないのか問題 ついさっき、ちょっと思うところがあって、「ブログ 自分語り」でぐぐってみました。 すると案の定というか、出てくるブログに書いてあることはほぼほぼ「ブログで自分語りなんてするな」の一色でした。 いわく、…

ジャンル分け不能の怪作『絶対小説(講談社リデビュー賞受賞作)』が小説愛にあふれすぎていて最高だったので感想を書く

絶対小説 (講談社タイガ) 作者:芹沢 政信 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2020/01/22 メディア: 文庫 この小説を何と呼べばいいのだろう。 河童のような人間が出てくるから伝奇か。 いや、謎の肉食植物や四脚駆動のメカが登場するからSFか。 作品全体に漂…

【書評】岩波新書シリーズ中国の歴史1『中華の成立 唐代まで』

中華の成立: 唐代まで (岩波新書) 作者:渡辺 信一郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/11/21 メディア: 新書 これは概説書としてみればかなり硬い部類になる。初学者がいきなり読めるものではない。物語性を求める読者にはまったく向いていないが、学…

麒麟がくる1話『光秀、西へ』感想

【1/19 HP更新のお知らせ】初回放送を終えて長谷川博己インタビュー 公開#麒麟がくる #明智光秀https://t.co/nMfnCDlcqK — 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」初回1月19日(日)放送@NHK (@nhk_kirin) 2020年1月19日 この光秀は旅の途上、荒廃した室町後期…

士農工商も赤穂浪士も教科書から消えていく『ここまで変わった日本史教科書』

ここまで変わった日本史教科書 作者:高橋 秀樹,三谷 芳幸,村瀬 信一 出版社/メーカー: 吉川弘文館 発売日: 2016/08/25 メディア: 単行本 これを読んでいると、かつて学んだ「日本史」の内容も少しづつ変わってきていることがわかる。今は「鎖国」という言葉…

【感想】情熱だけでは勝てなくなったときどの見つけた勝利法『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0 』

世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0 作者:ときど 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2019/12/05 メディア: 単行本(ソフトカバー) 東大卒プロゲーマー・ときどの勝利法は、もともとは東大入試攻略法と似たようなものだった。格闘ゲームの新タ…

奴隷狩り・人身売買・略奪……戦国時代の「民衆のリアル」を活写する『雑兵たちの戦場』

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777)) 作者:藤木 久志 出版社/メーカー: 朝日新聞社 発売日: 2005/06/10 メディア: 単行本 ルイス・フロイスは『ヨーロッパ文化と日本文化』において「われらにおいては、土地や都市や村落、および…

信長研究者は本能寺の変の原因を何だと考えているのか?『本能寺の変サミット2020』内容まとめ

先日、NHKBSで放映された『本能寺の変サミット2020』の内容をこちらにまとめておきます。参加したパネリストは天野忠幸,石川美咲,稲葉継陽,柴裕之,高木叙子,福島克彦,藤田達生の7氏。 この日、本能寺の変の原因として検討されていたのは怨恨説・朝廷or…

蝦夷の領域に築かれた最北端の古代城柵・秋田城を訪ねる

秋田市の秋田城跡と資料館を訪ねてきた。写真は昨年10月に撮ったもの。 秋田城の歴史は古く、733年に出羽柵が建設され、760年に秋田城と改称されている。 ここには復元された秋田城の城壁含め、当時の政庁そのものが公園の中に含まれている。 秋田城は軍事施…

伊東潤『敗者烈伝』における明智光秀の評価

敗者烈伝 (実業之日本社文庫) 作者:伊東 潤 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2019/10/04 メディア: 文庫 「汁二杯」のエピソードのせいでどうしても良いイメージを持たれない北条氏政だが、この本においては意外と評価が高い。上杉謙信との間に結ばれ…

【感想】鴻上尚史『「空気」を読んでも従わない』と小声で歌う"This is me"

「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書) 作者:鴻上 尚史 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/04/20 メディア: 新書 先日、ユーチューブで『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌"This is me"の動画を観ていた。なんど…

【感想】テッド・チャン『息吹』をSFに苦手意識のある私が読んでみた結果

息吹 作者:テッド・チャン 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/12/04 メディア: 単行本 テッド・チャン『息吹』は発売直後から絶賛されているが、私みたいにSFが得意とはいえない読者にもちゃんと読めるのだろうか?と気になっていた。海外SFを読んでい…

【感想】十二国記『白銀の墟 玄の月』3~4巻と「正史の隙間」の物語

白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫) 作者:小野 不由美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/11/09 メディア: 文庫 『白銀の墟 玄の月』1~2巻は、戴国がどれだけ悲惨かを書くことにほぼ費やされた。この2巻は、読者の忍耐力が試される巻だった。…

山川出版社 歴史の転換期1『B.C.220 帝国と世界史の誕生』に見るローマ帝国のブリテン島支配の実態

B.C.220年 帝国と世界史の誕生 (歴史の転換期) 作者:藤井 崇,宮嵜 麻子,宮宅 潔 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2018/04/28 メディア: 単行本 2018年以降、山川出版社から順次刊行されている歴史の転換期シリーズの1巻。最初の巻となる『B.C.220 帝国…

【感想】本郷和人『乱と変の日本史』

乱と変の日本史 (祥伝社新書) 作者:本郷 和人 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2019/03/01 メディア: 新書 平将門から島原の乱にいたるまで多くの「乱」と「変」を扱った内容になっているが、序の「乱と変から何がわかるか」を読むと、意外なことに「乱」と…

【感想】テンプル騎士団を知りたいならまずはこの本。佐藤賢一『テンプル騎士団』

テンプル騎士団 (集英社新書) 作者:佐藤 賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/07/13 メディア: 新書 アサシンクリードでは悪役側で、とかく怪しげなイメージを持たれがちなテンプル騎士団だが、その実態はどんなものだったか?それを知りたいなら、ま…

【感想】金成隆一『ルポトランプ王国2 ラストベルト再訪』と南部白人の「ディープ・ストーリー」

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書) 作者:金成 隆一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/09/21 メディア: 新書 前作に引き続き、大変読みごたえのあるルポだった。著者はラストベルトと郊外、バイブルベルトの3カ所を訪ね歩き多くのトラ…

【感想】吉川弘文館東北の中世史5『東北近世の胎動』

東北近世の胎動 (東北の中世史) 作者: 出版社/メーカー: 吉川弘文館 発売日: 2016/02/19 メディア: 単行本 吉川弘文館から刊行されている『東北の中世史』の最終巻だが、これは東北の城郭や伊達氏の統治に関心のある方にはぜひ読んでもらいたい。というのも…

明智光秀「仏のうそを方便といい、武士のうそを武略という」←なぜここだけ抜き出すのか

武士の日本史 (岩波新書) 作者: 高橋昌明 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/05/23 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 明智光秀が「仏のうそを方便と云い、武士のうそを武略と云う」と公言したという話が『老人雑話』には載っている。…