明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

歴史

映画『キングダム・オブ・ヘブン』感想:史劇ファン必見の超大作!

キングダム・オブ・ヘブン/ディレクターズ・カット (2枚組) [AmazonDVDコレクション] 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 発売日: 2018/03/16 メディア: DVD この商品を含むブログを見る まさしく重量級。村の鍛冶屋…

映画『マイケル・コリンズ』感想:アイルランド独立の闘士の生涯はひたすらに重い

マイケル・コリンズ [Blu-ray] 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 発売日: 2016/04/06 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る ひたすら苦く、重苦しい。 リーアム・ニーソン演じるアイルランド独立運動の闘士マイケ…

映画『第九軍団のワシ』感想:ローマ軍人とブリガンテス族の少年の友情を描いた良作

第九軍団のワシ スペシャル・エディション [DVD] 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 発売日: 2013/11/08 メディア: DVD この商品を含むブログ (5件) を見る 最近の作品に比べれば地味な映画だが、とても良かった。 サトクリ…

映画『アレクサンドリア』(ネタバレ感想)

アレクサンドリア [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2016/12/02 メディア: DVD この商品を含むブログ (2件) を見る ここまでキリスト教の負の側面をはっきり描いている映画もあまりないんじゃないかなぁ……というのが正直な感想。『クォ・ヴァディス』…

「肉食」をキーワードとした比較文明論『肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見』は中公新書屈指の名著

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92)) 作者: 鯖田豊之 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1966/01/01 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (20件) を見る 初版は1966年と古いですが、これは何年経っても色褪せ…

ヤグノブ人とソグドに関するメモ

BSプレミアム「シルクロード謎の民 大渓谷に生きる」でヤグノブ人のドキュメンタリーを放映していた。主に伝統的な牧畜を生業としているヤグノブ人だが、ヤグノブの言葉にはソグドごと共通する単語が300以上あるのだという。結婚式のときに新郎新婦が火の周…

明晰夢工房選・2018年のおすすめ新書ベスト5

今年もいろいろな本を読みましたが、今年読んだ本ではとくに新書が豊作だったので、2018年に発売された新書のベスト5を紹介します。このブログなのでどうしてもジャンルが歴史系に偏りますがそこはご容赦を。 呉座勇一『陰謀の日本中世史』 saavedra.hatenab…

キットカットに溝が刻まれているのはなぜ?『チョコレートの世界史 近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』でたどるチョコレートの歴史

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書) 作者: 武田尚子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2010/12/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 28回 この商品を含むブログ (26件) を見る これ一冊でアステカ帝国時代か…

妻を3度も寝取られた田舎貴族の裁判を扱った『姦通裁判』が名著だった

姦通裁判 ―18世紀トランシルヴァニアの村の世界― (星海社新書) 作者: 秋山晋吾 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/04/27 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る こういうものを読むと、星海社はほんとうにいい仕事をしているなと思いますね…

ゆうきまさみ『新九郎、奔る!』が掘り進む「室町時代という鉱脈」

新九郎、奔る! (1) (ビッグコミックススペシャル) 作者: ゆうきまさみ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/08/09 メディア: コミック この商品を含むブログ (4件) を見る ゆうきまさみ氏の『新九郎、奔る!』1巻を読みました。 この作品の冒頭は、38歳に…

中世ヨーロッパの生活や服装・食事を知るためのおすすめ本20冊

歴史関連の本はどうしても政治史について書いているものが中心になりがちですが、幸い中世ヨーロッパ史については生活史についての著書も多く出版されています。これらの本は政治史を補完する内容として興味深いだけでなく、ファンタジー創作のための資料と…

ケン・リュウ『母の記憶に』は中国史好きにもおすすめできる短編集

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ケンリュウ,牧野千穂,古沢嘉通,幹遙子,市田泉 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/04/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (8件) を見る ケン・リュウ『母の記憶に』を読んだ。SF短編集として売ら…

BSプレミアム「風雲!大歴史実験」の一ノ谷の戦いに関するメモ

義経と言えば鵯越えの逆落とし。というわけで、昨日の風雲!大歴史実験では、ほんとうにこの「逆落とし」が実現可能なのか、という実験を行っていた。 実験に使ったのは在来馬の木曽馬。見た感じでは足が短く小柄だが、その分安定感もあるようだった。騎手が…

松沢裕作『自由民権運動』が描き出す自由民権運動のカオスな実態

自由民権運動――〈デモクラシー〉の夢と挫折 (岩波新書) 作者: 松沢裕作 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/06/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る これは大変面白い本だった。字面だけを見れば民主主義を日本に根付かせるための運動…

大英帝国の中でハイランダーはどう生きたか──井野瀬久実恵『大英帝国という経験』

興亡の世界史 大英帝国という経験 (講談社学術文庫) 作者: 井野瀬久美惠 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/12/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る これは興亡の世界シリーズの中でも注目されるべき一冊であるように思う。というのは、本書で…

観応の擾乱に災害が及ぼした影響とは?亀田俊和『観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』を読んで

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書) 作者: 亀田俊和 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/07/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る あとがきに書いているように、著者の亀田俊和氏は天邪鬼な…

阿部正弘という人物をどう評価するか?半藤一利・出口治明『明治維新とは何だったのか』

明治維新とは何だったのか 世界史から考える 作者: 半藤一利,出口治明 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2018/04/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 幕末史や昭和史に関する著書を多数発表している半藤一利氏と世界史の著作の多い出口治明氏の…

石ノ森章太郎『マンガ日本の歴史』で中世史を学ぶ

岩波新書の『後醍醐天皇』を読もうとしたがあまり内容が頭に入ってこない。南北朝時代の基本的な史実が頭に入っていないせいだ。こういうときはビジュアルがあるものがいいだろうというわけで、石ノ森章太郎『マンガ日本の歴史』を手にとってみた。このシリ…

陳舜臣『中国の歴史』は中国史入門としておすすめの本

中国の歴史(一) (講談社文庫) 作者: 陳舜臣 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1990/10/08 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (10件) を見る ある国の歴史を知ろうとしたとき、入り口としては概説書と小説があります。 概説書の…

塩野七生『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』におけるアレクサンドロス大王の評価について

ギリシア人の物語III 新しき力 作者: 塩野七生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/12/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ギリシア人の物語の最終巻となるこの巻では、ペロポネソス戦争が終わり、ペルシアに翻弄されて混迷を深める…

北方謙三『チンギス紀』はモンゴル考古学者・白石典之の研究を参考にしている?

チンギス紀 一 火眼 作者: 北方謙三 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 『水滸伝』から『楊令伝』を経て『岳飛伝』に至る壮大なサーガを語り終えた北方謙三が次に挑むのがチンギス・カンの生…

シリーズ日本古代史5『平安京遷都』に見る武士の起源

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書) 作者: 川尻秋生 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (13件) を見る 平安時代は今ひとつ日本人にとってなじみがない。時代区分で…

日本史のおすすめ本を20冊紹介してみる

手元の概説書や新書、読みやすい専門書などの中から面白く読める日本史のおすすめ本を選んでみました。受験に役立つ内容ではありませんが、面白いだけでなく何かしら得るところのあるものを選んでいます。今後の読書の参考までにご覧ください。 中公文庫 日…

磯田道史『江戸の備忘録』には磯田史学のエッセンスが詰まっている

江戸の備忘録 (文春文庫) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/11/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る よく「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」などと言われる。 『江戸の備忘録』は磯田道史の処女作ではな…

信長の政治は同時代人にどう見られていたのか?を神田千里『戦国と宗教』に探る

戦国と宗教 (岩波新書) 作者: 神田千里 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/09/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 神田千里氏の『戦国と宗教』は一向一揆やキリシタン大名、戦国の「天道」思想など戦国時代の宗教について語っている…

司馬遼太郎のおすすめ作品は『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読むとわかる

「司馬遼太郎作品はただのフィクション」と切り捨ててよいか 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517) posted with ヨメレバ 磯田 道史 NHK出版 2017-05-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 7net 司馬遼太郎という人は特別な作家です。多くの人は…

磯田道史のおすすめ本ベスト1は『無私の日本人』では他の本はどうか

磯田道史氏はNHKBS「英雄たちの選択」の司会であり、『西郷どん』の時代考証も担当している。現代の歴史学者としては一番名前が知れている人かもしれない。テレビで見かける巧みな比喩を用いたわかりやすい解説は著書でもそのままで、歴史書としては無類の読…

チンギス・カンは「鉄の申し子」だった──白石典之『チンギス・カン "蒼き狼"の実像』

チンギス・カン―“蒼き狼”の実像 (中公新書) posted with カエレバ 白石 典之 中央公論新社 2006-01 Amazon 楽天市場 Yahooショッピング シヴィライゼーションをプレイした人なら誰でも理解できるのは、資源の重要性だ。プレイ初期に銅や鉄などの重要資源を確…

始皇帝研究の最前線に触れられる。『キングダム』愛読者にもおすすめの『人間・始皇帝』

人間・始皇帝 (岩波新書) 作者: 鶴間和幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る 講談社の中国の歴史シリーズの『ファーストエンペラーの遺産』の著者でもある鶴間和幸氏が始皇帝についての最新…

シャルル禿頭王、カール肥満王……なぜ中世ヨーロッパにはあだ名が多いのか?を解き明かした『あだ名で読む中世史』

中世ヨーロッパは「あだ名文化」の時代だった あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる 作者: 岡地稔 出版社/メーカー: 八坂書房 発売日: 2018/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 中世ヨーロッパとは、「あだ…