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明晰夢工房

主に自分語りです。

木下昌輝氏の珠玉の文章が光る一冊。『決戦!川中島』

スポンサーリンク // 歴史小説というものはその構造上、結末はあらかじめわかっている。 海外のマイナーな事件を取り上げたものなら別だが、題材が日本史なら、ある人物がどのような結末を迎えるのかは調べればすぐにわかる。 いわば最初から全部ネタバレし…

史実の「三国志」について学べるおすすめ本を12冊紹介します。

スポンサーリンク // こういうエントリを読むような方は「三国志にはフィクションである三国志演義と陳寿の書いた正史である三国志が存在して……」などという話はとっくにご存知だと思いますのでそのへんは省略します。 書棚を見たら今まで読んだ三国志本が結…

『パスタでたどるイタリア史』感想:パスタとイタリアの歴史を両方楽しめる贅沢な一冊。

スポンサーリンク // パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2011-11-18 Amazon 岩波ジュニア新書には名著が多い 岩波ジュニア新書って名著の宝庫なのでは?と最近思っています。 『砂糖の世界史』なんてそ…

綾辻行人『Another エピソードS』感想:さらなる続編はあるのか?

スポンサーリンク // Another エピソードS (角川文庫) posted with カエレバ 綾辻 行人 KADOKAWA/角川書店 2016-06-18 Amazon 今回は前作とは打って変わって賢木晃也の「幽霊」の立場から物語は紡がれる。 正直に言って、この内容は肩透かしだった。 Another…

「趙の三大天」李牧の兵法と冒頓単于についてのメモ

スポンサーリンク // キングダム 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) posted with カエレバ 原泰久 集英社 2012-06-22 Amazon 史実でも名称だった李牧 キングダムでは趙の「三大天」の一人ということになっている李牧。 この漫画は1巻しか読んだことがな…

命を繋いだものが勝つ、という生き方もある。佐藤賢一『カペー朝』

スポンサーリンク // カペー朝―フランス王朝史1 (講談社現代新書) posted with カエレバ 佐藤賢一 講談社 2009-07-17 Amazon 野心は一代で達成しなくてもいい 軍師官兵衛の中で一番記憶に残っている人物は荒木村重です。 妻子を置いて城から逃げ出しても、「…

アイヌ民族の歴史と文化について知るならまずはこの一冊。瀬川拓郎『アイヌ学入門』

スポンサーリンク // アイヌ学入門 (講談社現代新書) posted with カエレバ 瀬川 拓郎 講談社 2015-02-19 Amazon 著者の瀬川拓郎氏は今まで何冊かアイヌ関連の書籍を上梓していますが、これが一番わかりやすいと思います。 序章ではアイヌの歴史について簡潔…

ウイリアム・ウォレスはキルトを着ていなかった。『スコットランド 歴史を歩く』

スポンサーリンク // スコットランド 歴史を歩く (岩波新書) posted with カエレバ 高橋 哲雄 岩波書店 2004-06-18 Amazon スコットランド史の本はなかなか見かけないのでこの本は貴重。 この1冊があれば、あまり知られることのないスコットランドの近世の歴…

「この世にいない者」として扱われたかった人もいる。綾辻行人『Another』

スポンサーリンク // Another(上) (角川文庫) posted with カエレバ 綾辻 行人 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-11-25 Amazon 綾辻行人は館シリーズしか読んだことがなかったが、どちらかというと本格ミステリよりもこういうホラーとい…

AKBの被災地訪問と、握手会襲撃の衝撃。『AKB48、被災地へ行く』

スポンサーリンク // AKB48、被災地へ行く (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 石原 真 岩波書店 2015-10-21 Amazon もともとアイドルに興味のない自分でも、152ページで震えましたよ、これは。 忘れもしない2014年のAKB握手会の襲撃事件、起こった場…

森岡正博氏の『草食系男子の恋愛学』について

d.hatena.ne.jp 生命学者の森岡正博氏が恋愛工学の批判を展開している。恋愛工学のような女性蔑視的なノウハウに対して、森岡氏が「女性蔑視でない本物のアプローチ」として持ち出しているのがご自身の著書である『草食系男子の恋愛学』だ。 草食系男子の恋…

北方謙三『水滸伝』の面白さとは何か?大ベストセラーの魅力を紹介。

スポンサーリンク // 水滸伝 一 曙光の章 (集英社文庫) posted with カエレバ 北方謙三 集英社 2012-09-28 Amazon とにかく理屈抜きで熱中できて面白い小説は何かないか?と言われれば、僕はまず北方水滸伝を推します。 前提となる中国史の知識も特にいらな…

恐山は「死者への想いを預かるロッカー」だ。南直哉『恐山 死者のいる場所』

スポンサーリンク // 恐山には「極楽浜」と呼ばれる場所がある。 硫黄の匂いが立ち込める「地獄谷」や「賽の河原」と呼ばれる荒涼とした風景を抜けると、美しい湖のほとりに白砂の浜があり、数限りない風車が数百メートルにわたって立ち並ぶ。 もともとは、…

貧困、アルコール中毒、ドラッグ……アメリカの「最底辺」で苦悩するネイティブアメリカンを描く一冊。鎌田遵『ネイティブ・アメリカン』

アメリカ社会の「最底辺」に位置するネイティブ・アメリカン これは衝撃的な一冊だ。 居留地では社会への閉塞感からアルコール依存症に苦しむ人が少なくない。 失業率も高く、ナバホ族の37%は貧困線を下回る生活を送っている。 親族にドラッグを売る売人す…

大河ドラマには出せない黒田官兵衛のブラックな所業を描く小説。葉室麟『風渡る』

スポンサーリンク // 黒田官兵衛と言えば、信長の将来性をいち早く見抜き、主君の小寺政職に毛利ではなく織田に付くように進言した人、というイメージがあるのですが、どうもこうした人間像は小説や大河ドラマで作り上げられたもののようで。 軍師の境遇 新…

室町バーサーカーが江戸時代に消え去った理由とは何か?磯田道史『徳川がつくった先進国日本』

スポンサーリンク // togetter.comこれを読む限り、室町時代ってのはそれはそれは怖い時代だったようで。 下女の商売上のトラブルから町中での喧嘩が始まり、最終的には軍隊同士の衝突まで起きるという地獄絵図のような世界が上記のまとめでは紹介されていま…

『ど根性ガエルの娘』15話を読み、「編集される現実」について考えた。

世の中には、聞くとどうにも心の奥がざわつく言葉がある。 「やらせ」なんてのもその一つだ。 結局、世の中は全部やらせじゃないのか?なんて思ってしまうからだ。 この世界には多くの「感動実話」が流通している。 それらの多くが、嘘ではないにしても事実…

作家もまた「サービス業」である。

出版とはただのビジネスに過ぎない anond.hatelabo.jp 電子書籍か紙の本かみたいな議論にはあまり興味はないんですが、この増田を読んでいて心に残ったのがこの部分。 新刊が出るのもそれが配本されるのも面白い本がでるのも、全部ただの商行為であって、信…

「運」を良くするならニッチな知識を身につければいい――メンタリストDaiGo『ネガティブな人ほど運がいい?』

スポンサーリンク // 麻雀のプロも「運を良くする方法」を知っている 中学生の頃、ある麻雀プロの本にハマっていて、その人の麻雀必勝法を一生懸命読んでいたことがあります。 その人に言わせると、どうやら「ツキ」と言われるものは実在しているらしいので…

永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に生きましたレポ』を読んで、「感情貯金」について考えた

スポンサードリンク // 「感情貯金」が足りないとどうなってしまうのか さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 作者: 永田カビ 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2016/06/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る おそらくこれは…

どんな人間でも、小説の主人公たり得る――桜木紫乃『ホテルローヤル』

スポンサーリンク // ホテルローヤル (集英社文庫) 作者: 桜木紫乃 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/06/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (16件) を見る なんとなく気になった本は最近は買うことにしている。 そうした直感がよく当たることが多…

押し寄せる文字の洪水に酔え!大澤めぐみ『おにぎりスタッバー』

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫) 作者: 大澤めぐみ,U35 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2016/12/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 小説には文字しか存在しない。 だからこそ、文章の有難味というものが小説には欲しい。 そ…

『純潔のマリア』のラストにどうしても納得がいかなかった件

※このエントリは『純潔のマリア』のネタバレを含みます 純潔のマリア 1 (アフタヌーンKC) 作者: 石川雅之 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/02/05 メディア: コミック 購入: 16人 クリック: 175回 この商品を含むブログ (143件) を見る 魔女と聖母の特…

劉邦の魅力と"SAVE THE CAT"の法則

スポンサードリンク // 劉邦の魅力の秘密はどこにあるのか? www.saiusaruzzz.com 劉邦という人物は、取り立てて取り柄がある人物とも思えないのに、なぜ多くの人材を惹きつけたのか。 その理由としては、『項羽と劉邦』に書かれているように、「この人は自…

ヤマザキマリ『男性論』を読んで、才能とは何かを考えた

スポンサードリンク // 男性論 ECCE HOMO (文春新書 934) 作者: ヤマザキマリ 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/12/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (7件) を見る 本の内容は、ヤマザキマリさんが古代ローマやルネサンスの気になる男性につい…

おんな城主直虎は「国衆」の物語

真田丸の前半は「国衆」の物語だった 真田丸を通じて有名になった学術用語と言えば、「国衆」だと思います。 真田丸の前半は真田昌幸の物語と言って良い感じだったのですが、昌幸は自分のことを「国衆」と認識していて、「国衆の生き様を見せつけてやる」(…

書店は「宝探し」をする場所ではなくなった

ネットが普及する前、書店はどういう場所だったか news.yahoo.co.jp この記事を読んでいて、ネットが普及する前の書店の状況について考えていたのですが。 思えば昔は書店というのが、本に関する情報を得られるほぼ唯一の場であったように思います。 ネット…

書店で仏教の本を見かけると、時々怖くなる

このブログでも過去に何度か小池龍之介師の書籍は取り上げているし、やはり仏教というのは古くから存在するものなのでその中には心を落ち着かせるヒントや欲求をコントロールする上で優れたノウハウが存在するということ、それ自体は全く否定できないもので…

古代ローマ末期の「ヘイトスピーチ」

geopoli.exblog.jp 時事問題に過去の歴史を当てはめて解説しようとすると色々と無理が出てきたりするものですが、ローマ領内に侵入したゴート人を「難民」と捉えることは必ずしも的外れとは言えないようです。上記の記事を読んだあと『新・ローマ帝国衰亡史…

コミュニケーションの極意は、自意識を脱いでいくこと 『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』

ta-nishi.hatenablo スポンサードリンク // 「コミュ障」の視点に立つ誠実なコミュニケーション術の本です id:Ta-nishiさんのこちらのエントリが面白かったので、紹介されている『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』を読んでみました。 なぜ、この人と…

なぜ、成功本を読んでも成功できないのか?新田亮介『成功本はムチャを言う!?』

最近の自己啓発界のスターって誰なのでしょうか。数年前までは勝間和代さんがそのポジションにいたと思いますが、最近はあまりこれという人が思い浮かびません。単に僕があまりその手の本を読まないこともあるんでしょうが、自分磨きに余念のないビジネスマ…

なぜ真田信繁は「幸村」と呼ばれているのか?

昨日の真田丸では信繁が幸村と名を改めていましたが、その経緯は壺に入れた文字からくじで選ぶというかなり驚くようなものでした。「天下一統」の文字も壺の中に入れてましたが、一とか下とか出てきたらどうするんでしょうか。もっとも、足利義教がくじ引き…

青年の怒りが天元突破してる『幸せになる勇気』

『嫌われる勇気』から二年を経て、あの男が帰ってきました。そう、哲人の対談相手であるあの「青年」です。本の中では三年の時間が経ったことになっているのですが、前著では大学図書館で司書を勤めていた青年は教師になっていました。そして教育現場で再び…

「優しい人間」って何だろうね

今日はこの辺を読んだ雑感などを。 anond.hatelabo.jp この独白と同じような意味合いで、「お前は本当は優しい人間ではない」と他者を非難する人というのはいます。「お前は確かに人を傷つけるようなことはしないけれど、それは気が弱くて他人の顔色を伺って…

又兵衛は信繁に出丸建設の邪魔をされた?福田千鶴『後藤又兵衛』

真田丸が来週からいよいよ大阪編に突入するようなので、予習として福田千鶴『後藤又兵衛』を読んでみました。 後藤又兵衛 - 大坂の陣で散った戦国武将 (中公新書) 作者: 福田千鶴 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/04/19 メディア: 新書 この商品…

91歳まで引退できなかった苦労人の生涯『真田信之 父の知略に勝った決断力』

『真田丸』時代考証担当の一人・平山優さんの『真田信之 父の知略に勝った決断力』が発売されたのでさっそく読んでみました。 真田信之 父の知略に勝った決断力 (PHP新書) 作者: 平山優 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2016/09/16 メディア: 新書 この…

アドラー心理学『嫌われる勇気』を読んでいて気になったこと

以前から気になっていたこの本なのですが、最近ようやく読むことができました。 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 作者: 岸見一郎,古賀史健 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2013/12/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品…

やりたいことがあるのは「解けない呪い」だ――ちきりん・梅原大吾『悩みどころと逃げどころ』

ウメハラという人は、とても言語化能力の高い人だと思う。そして決して媚びない人でもある。例えばこの本の対談で「やりたいことがあるのは幸せ」だというちきりんに対して「やりたいことがあるのは解けない呪いにかかっているようなもの」だなんて言ってし…