明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなど

読書

森川智之『声優 声の職人』で「帝王」がボーイズラブCDやダミーヘッドマイクについて語っていた

森川智之さんという方のことを、私はあまり詳しくは知りません。 とはいえ、岩波新書で声優を扱った本が出るとなれば気になるのも確か。 というわけで、さっそく読んでみました。 森川さんのブログが更新されています! はい、帯は写真のチョイスも含めて編…

眺めているだけでワクワクする。『世界をまどわせた地図』にはムー大陸からパタゴニアの巨人まで怪しい伝承満載

ドラゴンクエストはなぜ面白いのか、とたまに考える。 もちろんストーリーに惹き込まれるとか、レベル上げが楽しいということはある。 しかしやはり欠かせない要素として、「知らない世界を冒険できる」ということが挙げられるのではないだろうか。 ワールド…

磯田道史『日本史の内幕』感想:磯田道史はおんな城主直虎の仕掛け人だった?

日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/10/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 磯田道史という人はふしぎな人だ。まるで古文書の方から彼に近づい…

世界史の超おすすめ概説本を7シリーズ+5冊紹介してみる

書棚を見ていると世界史の書籍がかなりの冊数になったので、せっかくなので世界史を学んでみたいという方のためにおすすめの概説書を紹介してみることにしました。 なお、これから紹介する本は社会人が趣味として学ぶためのものを想定しています。たぶん高校…

呉座勇一『陰謀の日本中世史』が学会の大物から在野の研究者まで撫で斬りにしている件

これは凄い。 880円の新書でありながら保元・平治の乱から関ヶ原の戦いに至るまでの中世史の概要を学べる。 しかも通説や俗説をきちんとした学問的証拠をあげて次々と論破し、読者に陰謀論とは異なる、最新の歴史的知見を与えてくれる。 そして最終章ではな…

カクヨムの新連載小説「ムルムクス」が怖すぎて続きが気になりすぎる件

読みだしたら止まらない小説というものがある。 いつも歴史とファンタジー小説しか読まない自分が、まさかホラーにここまではまるとは思わなかった。 これは一度読んだが最後、続きが気になり、次回の更新を渇望してしまうようになるだろう。文字通り巻を措…

ニシンとタラが大航海時代を支え、世界史を作った。『魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ』

魚で始まる世界史: ニシンとタラとヨーロッパ (平凡社新書) 作者: 越智敏之 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2014/06/13 メディア: 新書 この商品を含むブログ (9件) を見る 司馬遼太郎や塩野七生の作品を好む人が多いことからもわかるように、多くの人は優…

「反薩長」の立場からは幕末はどう見えるのか──半藤一利『幕末史』

幕末史 (新潮文庫) 作者: 半藤一利 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2012/10/29 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (19件) を見る 半藤一利氏は夏休みになると毎年、体を鍛えるために父の生家である長岡に行かされていたそうだ…

西郷隆盛の銅像の謎から最後まで1冊でわかる『西郷どんと呼ばれた男』

西郷どん(せごどん)とよばれた男 作者: 原口泉 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2017/08/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 西郷隆盛の銅像の謎 大河ドラマの予習をする場合、やはり時代考証を担当している人が書いたものを…

パラレルワールドの「僕」と「俺」の2つの人生を体験できる『君を愛したひとりの僕へ』『僕が愛したすべての君へ』感想

君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2) 作者: 乙野四方字,shimano 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/06/23 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1) 作者: 乙野四方字,shima…

講談社『興亡の世界史』シリーズのおすすめの巻を紹介してみる

なにか面白い世界史の本ってないの?という方におすすめしたいのが、講談社の『興亡の世界史』シリーズです。これはなかなか意欲的なシリーズで、世界史本によくあるイギリスやドイツ、中国と言った国ごとの単位で歴史を見るのではなく、もっと広い視野で国…

小姓の視点から中世ヨーロッパの城の生活を体験できる『中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる』

岩波ジュニア新書なんかを読んでいてもよく思うことですが、児童書というものをナメてはいけません。この手の本は多くは専門家が書いていて、子供だましどころか子供向けであるがゆえに内容がわかりやすく、それでいて高度な内容がさりげなく詰め込まれてい…

『バッタを倒しにアフリカへ』と「やりたいこと」という呪い

スポンサーリンク // バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書) 作者: 前野ウルド浩太郎 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/05/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (18件) を見る もうだいぶ前から評判になっているので手にとってみたが、たしかにこ…

漫画志望者は必読。そうでない人が読んでも圧倒的に面白い『荒木飛呂彦の漫画術』

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書) 作者: 荒木飛呂彦 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/04/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (32件) を見る 恐ろしいものの片鱗を味わったぜ… これは凄い。無駄な箇所が一行たりとも存在しない。頭のてっぺんから…

「平凡」な高校生活を描く非凡な青春小説の傑作『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』

スポンサーリンク // // 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫) 作者: 大澤めぐみ,もりちか 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/11/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る ラノベで高校生活を描いたもの…

まるで冒険小説のような興奮を呼び起こす名著。増田義郎『古代アステカ王国』

古代アステカ王国―征服された黄金の国 (中公新書 6) 作者: 増田義郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1963/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 実はこのエントリのタイトル、最初は「モンテスマは戦闘狂ではなかった!」にするつも…

人の善意の限界はどこにあるのか?──武者小路実篤『真理先生』

真理先生 (新潮文庫) 作者: 武者小路実篤 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1952/07/02 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 31回 この商品を含むブログ (29件) を見る マリ先生ではなくシンリ先生。 その名の通り、弟子たちに真理を語り聞かせる代わりに生…

太陽まりい『ギャルごはん』感想

スポンサーリンク // ギャルごはん 1 (ヤングアニマルコミックス) 作者: 太陽まりい 出版社/メーカー: 白泉社 発売日: 2017/06/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 悪意がどこにも存在しない漫画というものはいいものです。 疲れているときは…

読めば又吉直樹が好きになる一冊。又吉直樹『夜を乗り越える』

夜を乗り越える(小学館よしもと新書) 作者: 又吉直樹 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016/06/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (14件) を見る 昔から、「辛口批評」のたぐいがどうも苦手だ。手厳しく批判するのが悪いと言いたいわけではない。それ…

醜い者は分相応に生きよ──福田恆存『私の幸福論』

私の幸福論 (ちくま文庫) 作者: 福田恒存 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1998/09/01 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (70件) を見る 女はとかく外見を品評される。今は男だってそうかもしれない。大事なのは人格だと言…

個性的であれという呪縛が人を苦しめる──南直哉『なぜこんなに生きにくいのか』

なぜこんなに生きにくいのか (新潮文庫) 作者: 南直哉 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/09/28 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (7件) を見る ある時期から、どうもブログの世界が居心地が悪い、と感じるようになった。 …

『王様でたどるイギリス史』

スポンサーリンク // 王様でたどるイギリス史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2017-02-22 『パスタでたどるイタリア史』は面白い本だったが、それに比べるとこれはかなり個性は控えめな印象。パスタやお菓子など、あまり普通の…

『嫌われる勇気』に対する真摯な批判

『嫌われる勇気』の最大の問題点は何か 先日、宇樹義子さんによるこちらのエントリを読んだ。 decinormal.com このエントリでは、『嫌われる勇気』によって有名になったアドラー心理学のデメリットについて簡潔かつ丁寧に解説されている。このブログでも以前…

高橋祐一『緋色の玉座』感想:スニーカー文庫で読める東ローマの歴史小説

スポンサーリンク // 緋色の玉座 (角川スニーカー文庫) posted with カエレバ 高橋 祐一 KADOKAWA 2017-05-01 こういう作品がスニーカー文庫から出るというのがまず驚き。 東ゴートやヴァンダル、ササン朝の地図が見られるラノベはなかなかない。 表紙を飾る…

木下昌輝氏の珠玉の文章が光る一冊。『決戦!川中島』

スポンサーリンク // 歴史小説というものはその構造上、結末はあらかじめわかっている。 海外のマイナーな事件を取り上げたものなら別だが、題材が日本史なら、ある人物がどのような結末を迎えるのかは調べればすぐにわかる。 いわば最初から全部ネタバレし…

史実の「三国志」について学べるおすすめ本を12冊紹介します。

スポンサーリンク // こういうエントリを読むような方は「三国志にはフィクションである三国志演義と陳寿の書いた正史である三国志が存在して……」などという話はとっくにご存知だと思いますのでそのへんは省略します。 書棚を見たら今まで読んだ三国志本が結…

『パスタでたどるイタリア史』感想:パスタとイタリアの歴史を両方楽しめる贅沢な一冊。

スポンサーリンク // パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2011-11-18 Amazon 岩波ジュニア新書には名著が多い 岩波ジュニア新書って名著の宝庫なのでは?と最近思っています。 『砂糖の世界史』なんてそ…

綾辻行人『Another エピソードS』感想:さらなる続編はあるのか?

スポンサーリンク // Another エピソードS (角川文庫) posted with カエレバ 綾辻 行人 KADOKAWA/角川書店 2016-06-18 Amazon 今回は前作とは打って変わって賢木晃也の「幽霊」の立場から物語は紡がれる。 正直に言って、この内容は肩透かしだった。 Another…

「趙の三大天」李牧の兵法と冒頓単于についてのメモ

スポンサーリンク // キングダム 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) posted with カエレバ 原泰久 集英社 2012-06-22 Amazon 史実でも名称だった李牧 キングダムでは趙の「三大天」の一人ということになっている李牧。 この漫画は1巻しか読んだことがな…

命を繋いだものが勝つ、という生き方もある。佐藤賢一『カペー朝』

スポンサーリンク // カペー朝―フランス王朝史1 (講談社現代新書) posted with カエレバ 佐藤賢一 講談社 2009-07-17 Amazon 野心は一代で達成しなくてもいい 軍師官兵衛の中で一番記憶に残っている人物は荒木村重です。 妻子を置いて城から逃げ出しても、「…