明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなど

読書

シリーズ日本古代史5『平安京遷都』に見る武士の起源

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書) 作者: 川尻秋生 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (13件) を見る 平安時代は今ひとつ日本人にとってなじみがない。時代区分で…

日本史のおすすめ本を20冊紹介してみる

手元の概説書や新書、読みやすい専門書などの中から面白く読める日本史のおすすめ本を選んでみました。受験に役立つ内容ではありませんが、面白いだけでなく何かしら得るところのあるものを選んでいます。今後の読書の参考までにご覧ください。 中公文庫 日…

磯田道史『江戸の備忘録』には磯田史学のエッセンスが詰まっている

江戸の備忘録 (文春文庫) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/11/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る よく「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」などと言われる。 『江戸の備忘録』は磯田道史の処女作ではな…

信長の政治は同時代人にどう見られていたのか?を神田千里『戦国と宗教』に探る

戦国と宗教 (岩波新書) 作者: 神田千里 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/09/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 神田千里氏の『戦国と宗教』は一向一揆やキリシタン大名、戦国の「天道」思想など戦国時代の宗教について語っている…

司馬遼太郎のおすすめ作品は『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読むとわかる

「司馬遼太郎作品はただのフィクション」と切り捨ててよいか 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517) posted with ヨメレバ 磯田 道史 NHK出版 2017-05-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 7net 司馬遼太郎という人は特別な作家です。多くの人は…

磯田道史のおすすめ本ベスト1は『無私の日本人』では他の本はどうか

磯田道史氏はNHKBS「英雄たちの選択」の司会であり、『西郷どん』の時代考証も担当している。現代の歴史学者としては一番名前が知れている人かもしれない。テレビで見かける巧みな比喩を用いたわかりやすい解説は著書でもそのままで、歴史書としては無類の読…

チンギス・カンは「鉄の申し子」だった──白石典之『チンギス・カン "蒼き狼"の実像』

チンギス・カン―“蒼き狼”の実像 (中公新書) posted with カエレバ 白石 典之 中央公論新社 2006-01 Amazon 楽天市場 Yahooショッピング シヴィライゼーションをプレイした人なら誰でも理解できるのは、資源の重要性だ。プレイ初期に銅や鉄などの重要資源を確…

始皇帝研究の最前線に触れられる。『キングダム』愛読者にもおすすめの『人間・始皇帝』

人間・始皇帝 (岩波新書) 作者: 鶴間和幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る 講談社の中国の歴史シリーズの『ファーストエンペラーの遺産』の著者でもある鶴間和幸氏が始皇帝についての最新…

不法移民のリアルを余すところなく描き出す渾身のルポ『ルポ不法移民 アメリカ国境を超えた男たち』

ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち (岩波新書) 作者: 田中研之輔 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/11/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る これは読み進めるのがしんどい。だが一番辛いのは、本書に登場する不法移民たち…

キング牧師の「道徳的柔術」がアメリカを変えた──黒崎真『マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士』

マーティン・ルーサー・キングという人の一般的なイメージは「演説家」だろう。もちろんそれは正しい。キング牧師が演説家として卓越した能力をもっていたことは事実だ。ただ、差別解消のための手段として見るなら、演説は正しい戦術と組み合わせることでは…

シャルル禿頭王、カール肥満王……なぜ中世ヨーロッパにはあだ名が多いのか?を解き明かした『あだ名で読む中世史』

中世ヨーロッパは「あだ名文化」の時代だった あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる 作者: 岡地稔 出版社/メーカー: 八坂書房 発売日: 2018/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 中世ヨーロッパとは、「あだ…

佐藤賢一『フランス革命の肖像』におけるルイ16世の評価について

フランス革命の肖像 (集英社新書ヴィジュアル版) 作者: 佐藤賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2010/05/14 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 25回 この商品を含むブログ (9件) を見る 「男は40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持たなくてはいけない」な…

百年戦争をわかりやすく解説してくれる入門書──佐藤賢一『英仏百年戦争』

歴史系の新書は、一度学者が書いたあと作家が面白く読めるように「超訳」することはできないだろうか、などと思うことがある。学者が皆宮崎市定や林健太郎のような読み物としても面白い文章を書けるとは限らないからだ。 もちろんそんなことは実現不可能だが…

世界史リブレットのおすすめの巻を紹介してみる

山川出版社からは世界史リブレットという小冊子がたくさん刊行されています。古今東西の多くのテーマを扱っていて、ページ数こそ少ないものの各分野の専門家が書いているため中身が濃く、コスパは決して悪くありません。姉妹編として『世界史リブレット 人』…

森川智之『声優 声の職人』で「帝王」がボーイズラブCDやダミーヘッドマイクについて語っていた

森川智之さんという方のことを、私はあまり詳しくは知りません。 とはいえ、岩波新書で声優を扱った本が出るとなれば気になるのも確か。 というわけで、さっそく読んでみました。 森川さんのブログが更新されています! はい、帯は写真のチョイスも含めて編…

眺めているだけでワクワクする。『世界をまどわせた地図』にはムー大陸からパタゴニアの巨人まで怪しい伝承満載

ドラゴンクエストはなぜ面白いのか、とたまに考える。 もちろんストーリーに惹き込まれるとか、レベル上げが楽しいということはある。 しかしやはり欠かせない要素として、「知らない世界を冒険できる」ということが挙げられるのではないだろうか。 ワールド…

磯田道史『日本史の内幕』感想:磯田道史はおんな城主直虎の仕掛け人だった?

日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/10/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 磯田道史という人はふしぎな人だ。まるで古文書の方から彼に近づい…

世界史の超おすすめ概説本を7シリーズ+5冊紹介してみる

書棚を見ていると世界史の書籍がかなりの冊数になったので、せっかくなので世界史を学んでみたいという方のためにおすすめの概説書を紹介してみることにしました。 なお、これから紹介する本は社会人が趣味として学ぶためのものを想定しています。たぶん高校…

呉座勇一『陰謀の日本中世史』が学会の大物から在野の研究者まで撫で斬りにしている件

これは凄い。 880円の新書でありながら保元・平治の乱から関ヶ原の戦いに至るまでの中世史の概要を学べる。 しかも通説や俗説をきちんとした学問的証拠をあげて次々と論破し、読者に陰謀論とは異なる、最新の歴史的知見を与えてくれる。 そして最終章ではな…

カクヨムの新連載小説「ムルムクス」が怖すぎて続きが気になりすぎる件

読みだしたら止まらない小説というものがある。 いつも歴史とファンタジー小説しか読まない自分が、まさかホラーにここまではまるとは思わなかった。 これは一度読んだが最後、続きが気になり、次回の更新を渇望してしまうようになるだろう。文字通り巻を措…

ニシンとタラが大航海時代を支え、世界史を作った。『魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ』

魚で始まる世界史: ニシンとタラとヨーロッパ (平凡社新書) 作者: 越智敏之 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2014/06/13 メディア: 新書 この商品を含むブログ (9件) を見る 司馬遼太郎や塩野七生の作品を好む人が多いことからもわかるように、多くの人は優…

「反薩長」の立場からは幕末はどう見えるのか──半藤一利『幕末史』

幕末史 (新潮文庫) 作者: 半藤一利 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2012/10/29 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (19件) を見る 半藤一利氏は夏休みになると毎年、体を鍛えるために父の生家である長岡に行かされていたそうだ…

西郷隆盛の銅像の謎から最後まで1冊でわかる『西郷どんと呼ばれた男』

西郷どん(せごどん)とよばれた男 作者: 原口泉 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2017/08/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 西郷隆盛の銅像の謎 大河ドラマの予習をする場合、やはり時代考証を担当している人が書いたものを…

パラレルワールドの「僕」と「俺」の2つの人生を体験できる『君を愛したひとりの僕へ』『僕が愛したすべての君へ』感想

君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2) 作者: 乙野四方字,shimano 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/06/23 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1) 作者: 乙野四方字,shima…

講談社『興亡の世界史』シリーズのおすすめの巻を紹介してみる

なにか面白い世界史の本ってないの?という方におすすめしたいのが、講談社の『興亡の世界史』シリーズです。これはなかなか意欲的なシリーズで、世界史本によくあるイギリスやドイツ、中国と言った国ごとの単位で歴史を見るのではなく、もっと広い視野で国…

小姓の視点から中世ヨーロッパの城の生活を体験できる『中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる』

岩波ジュニア新書なんかを読んでいてもよく思うことですが、児童書というものをナメてはいけません。この手の本は多くは専門家が書いていて、子供だましどころか子供向けであるがゆえに内容がわかりやすく、それでいて高度な内容がさりげなく詰め込まれてい…

『バッタを倒しにアフリカへ』と「やりたいこと」という呪い

スポンサーリンク // バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書) 作者: 前野ウルド浩太郎 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/05/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (18件) を見る もうだいぶ前から評判になっているので手にとってみたが、たしかにこ…

漫画志望者は必読。そうでない人が読んでも圧倒的に面白い『荒木飛呂彦の漫画術』

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書) 作者: 荒木飛呂彦 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/04/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (32件) を見る 恐ろしいものの片鱗を味わったぜ… これは凄い。無駄な箇所が一行たりとも存在しない。頭のてっぺんから…

「平凡」な高校生活を描く非凡な青春小説の傑作『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』

スポンサーリンク // // 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫) 作者: 大澤めぐみ,もりちか 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/11/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る ラノベで高校生活を描いたもの…

まるで冒険小説のような興奮を呼び起こす名著。増田義郎『古代アステカ王国』

古代アステカ王国―征服された黄金の国 (中公新書 6) 作者: 増田義郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1963/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 実はこのエントリのタイトル、最初は「モンテスマは戦闘狂ではなかった!」にするつも…