明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

読書

ヴァイキングの歴史や文化を知るためのおすすめ本5冊

ヴィンランド・サガのアニメも始まるので、ヴァイキング関連で今まで読んだものの中からおすすめ本を紹介することにします。ヴァイキング本の中でもなるべく内容がかぶらないものを選んでみました。 1.図説ヴァイキングの歴史 図説 ヴァイキングの歴史 作…

【書評】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』文庫版の「近未来日本に中学氏族が出現する」という話が面白い

世界の辺境とハードボイルド室町時代 (集英社文庫) 作者: 高野秀行,清水克行 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/05/17 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る この本の面白さはもうあちこちで語られ尽くしている気もするし、実際一度手に取ったが最…

【感想】『鹿の王』の最大の魅力は「あたりまえを活写する力」

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐ 作者: 上橋菜穂子 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (51件) を見る 鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐ 作者: 上橋菜穂子 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日…

【感想】柳広司『二度読んだ本を三度読む』と「司馬史観」という枷

二度読んだ本を三度読む (岩波新書) 作者: 柳広司 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/04/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る アニメ化もされた『ジョーカー・ゲーム』などが有名な柳広司さんの書評集。取り上げられている作品は『山月記』…

【書評】岩波シリーズアメリカ合衆国史1『植民地から建国へ』

植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書) 作者: 和田光弘 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/04/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 岩波新書から「シリーズアメリカ合衆国史」シリーズの刊行が始まりましたが、これはその1冊目になり…

【感想】『世にも危険な医療の世界史』の衝撃的すぎる内容を紹介する

世にも危険な医療の世界史 作者: リディアケイン,ネイトピーダーセン,福井久美子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/04/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 健康法の歴史は古い。今でも健康オタクはたくさんいるが、科学の未発達な時代の…

『世界歴史大系 ロシア史1』と「タタールのくびき」

ロシア史〈1〉9~17世紀 (世界歴史大系) 作者: 田中陽児,倉持俊一,和田春樹 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 1995/09/01 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を含むブログ (1件) を見る ロシア史の本は案外日本には少なくて、とくにキエフ公国時代…

【書評】斎藤孝『ネット断ち 毎日の「つながらない一時間」が知性を育む』

ネット断ち (青春新書インテリジェンス) 作者: 齋藤孝 出版社/メーカー: 青春出版社 発売日: 2019/01/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る およそ現代ほど、人間が「他人からどう見られているか」を気にしている時代はありません。ツイッターでは…

【感想】師走トオル『ファイフステルサーガ2 再臨の魔王と公国の動乱』

ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱 (ファンタジア文庫) 作者: 師走トオル,有坂あこ 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/09/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 1巻は冒頭で魔物との戦いもありましたが、今回は全編人間…

【書評】牧原憲夫『岩波シリーズ日本近現代史2 民権と憲法』

民権と憲法―シリーズ日本近現代史〈2〉 (岩波新書) 作者: 牧原憲夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2006/12/20 メディア: 新書 購入: 3人 クリック: 44回 この商品を含むブログ (44件) を見る 明治という時代が国家全体としては間違いなく上昇気流に乗る…

【書評】藤田覚『岩波シリーズ日本近世史5 幕末から維新へ』

幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉 (岩波新書) 作者: 藤田覚 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/05/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る これは岩波新書日本近世史シリーズの中でも出色の出来。タイトルに幕末と入っているも…

audibleの無料体験期間に『日の名残り』を全部聴いたので感想を書く

audibleを聴けばアマゾンプライム会員なら一月あたりamazonポイントが最大1000ポイント溜まりますよ、という宣伝文句につられてこのサービスを1か月無料体験してみることにしました。 今までオーディオブックというものを聴いたことがなかったのですが、結論…

【感想】吉岡大祐『ヒマラヤに学校をつくる カネなしコネなしの僕と、見捨てられた子どもたちの挑戦』

ヒマラヤに学校をつくる 〜カネなしコネなしの僕と、見捨てられた子どもたちの挑戦 作者: 吉岡大祐 出版社/メーカー: 旬報社 発売日: 2018/08/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 滞在費が安いから、という理由で行き先をアメリカからネパール…

【感想】『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』

アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書) 作者: 中川裕,野田サトル 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/03/15 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修をつとめる中川裕氏がこの漫画を題材に、アイ…

【書評】『読書する人だけがたどり着ける場所』はどこなのか?

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書) 作者: 齋藤孝 出版社/メーカー: SBクリエイティブ 発売日: 2019/01/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る この本のタイトルをグーグルで検索してみたら、「読書する人だけがたどり着ける場所 要約」と出…

【書評】出口治明『人類5000年史Ⅱ』

人類5000年史II (ちくま新書) 作者: 出口治明 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/12/06 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 出口治明氏による世界史通史の2冊目は期限元年~1000年ころまでを扱っています。内容としては1冊目同様年代ごとに各…

【書評】出口治明『人類5000年史Ⅰ』呂不韋はソグド人だった……?

人類5000年史I: 紀元前の世界 (ちくま新書) 作者: 出口治明 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/11/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 一年に一冊づつ刊行される予定らしく、現在2冊目まで発売されている出口治明氏の世界史通史。 1冊目の…

岩波ジュニア新書『情熱でたどるスペイン史』はスペイン史入門としておすすめの一冊

情熱でたどるスペイン史 (岩波ジュニア新書) 作者: 池上俊一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/01/23 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 第一次大戦後から行われてきた世論調査では、ヨーロッパ各国では国民が一番好きな色は青になるそうで…

磯田道史『武士の家計簿』はやはり傑作だった

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/04/10 メディア: 新書 購入: 16人 クリック: 113回 この商品を含むブログ (152件) を見る 磯田ファンのひとりとしてはとっくに読んでいなくて…

【書評】岩波新書シリーズ日本中世史3『室町幕府と地方の社会』

室町幕府と地方の社会〈シリーズ日本中世史 3〉 (岩波新書) 作者: 榎原雅治 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/05/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (9件) を見る このコンパクトな分量で複雑な室町時代をカバーできるのだろうか?と思いつつ読…

水戸藩にラーメンが伝わった事情とは?『水戸黄門の食卓 元禄の食事情』

水戸黄門の食卓―元禄の食事情 (中公新書) 作者: 小菅桂子 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1992/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 現在では室町時代にすでにラーメンが食べられていたことが知られていて、水戸光圀は「日本で最初に…

明・清と同時代のモンゴルやチベットの歴史を知りたい人におすすめの講談社学術文庫『紫禁城の栄光』

紫禁城の栄光―明・清全史 (講談社学術文庫) 作者: 岡田英弘,神田信夫,松村潤 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/10/11 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (14件) を見る 明・清代の歴史の概説書としては講談社の中国の歴史シ…

「肉食」をキーワードとした比較文明論『肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見』は中公新書屈指の名著

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92)) 作者: 鯖田豊之 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1966/01/01 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (20件) を見る 初版は1966年と古いですが、これは何年経っても色褪せ…

セミの抜け殻を取られたので切腹!氏家幹人『江戸藩邸物語』が描く武士道の実態

江戸藩邸物語―戦場から街角へ (中公新書) 作者: 氏家幹人 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1988/06 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (5件) を見る 『応仁の乱』のヒット以降室町時代にスポットライトが当たっているためか…

伊東潤『幕末雄藩列伝』を読んで幕末維新の人物評価の難しさについて考えた

幕末雄藩列伝 (角川新書) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/11/10 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 直木賞作家・伊藤潤さんが幕末の十四の藩をとりあげ、その動向について解説している本。薩長土肥など勝ち組から会津・庄内…

江戸時代の百姓の暮らしが裁判でわかる。渡辺尚志『武士に「もの言う」百姓たち』

武士に「もの言う」百姓たち―裁判でよむ江戸時代 作者: 渡辺尚志 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2012/12/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 近代以前では、裁判の記録は庶民の生活を知る重要な手がかりになります。とくに江戸時代で…

自己責任論を押し付けられる明治時代は本当にしんどい。松沢裕作『生きづらい明治社会 不安と競争の時代』

生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書) 作者: 松沢裕作 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る これは間違いなく名著。岩波ジュニア新書には時折「これはどう見ても大人向けで…

後醍醐天皇が明治維新に与えた巨大な影響を描く兵藤裕己『後醍醐天皇』

後醍醐天皇 (岩波新書) 作者: 兵藤裕己 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/04/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 後醍醐天皇の評伝としては最も新しい本。どうしても太平記のイメージに引きずられがちな人物ですが、本書を読めば後…

明晰夢工房選・2018年のおすすめ新書ベスト5

今年もいろいろな本を読みましたが、今年読んだ本ではとくに新書が豊作だったので、2018年に発売された新書のベスト5を紹介します。このブログなのでどうしてもジャンルが歴史系に偏りますがそこはご容赦を。 呉座勇一『陰謀の日本中世史』 saavedra.hatenab…

蜀という「ブラック国家」の実態を描く『劉備と諸葛亮 カネ勘定の「三国志」』

劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』 (文春新書) 作者: 柿沼陽平 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/05/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 帯では『三国志の「英雄」は全員悪人!?』と煽っていますが、読んでみるとそれほど劉備や…