明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなど

読書

講談社『興亡の世界史』シリーズのおすすめの巻を紹介してみる

なにか面白い世界史の本ってないの?という方におすすめしたいのが、講談社の『興亡の世界史』シリーズです。これはなかなか意欲的なシリーズで、世界史本によくあるイギリスやドイツ、中国と言った国ごとの単位で歴史を見るのではなく、もっと広い視野で国…

小姓の視点から中世ヨーロッパの城の生活を体験できる『中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる』

岩波ジュニア新書なんかを読んでいてもよく思うことですが、児童書というものをナメてはいけません。この手の本は多くは専門家が書いていて、子供だましどころか子供向けであるがゆえに内容がわかりやすく、それでいて高度な内容がさりげなく詰め込まれてい…

『バッタを倒しにアフリカへ』と「やりたいこと」という呪い

スポンサーリンク // バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書) 作者: 前野ウルド浩太郎 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2017/05/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (18件) を見る もうだいぶ前から評判になっているので手にとってみたが、たしかにこ…

漫画志望者は必読。そうでない人が読んでも圧倒的に面白い『荒木飛呂彦の漫画術』

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書) 作者: 荒木飛呂彦 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/04/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (32件) を見る 恐ろしいものの片鱗を味わったぜ… これは凄い。無駄な箇所が一行たりとも存在しない。頭のてっぺんから…

「平凡」な高校生活を描く非凡な青春小説の傑作『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』

スポンサーリンク // // 6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫) 作者: 大澤めぐみ,もりちか 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/11/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る ラノベで高校生活を描いたもの…

まるで冒険小説のような興奮を呼び起こす名著。増田義郎『古代アステカ王国』

古代アステカ王国―征服された黄金の国 (中公新書 6) 作者: 増田義郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1963/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 実はこのエントリのタイトル、最初は「モンテスマは戦闘狂ではなかった!」にするつも…

人の善意の限界はどこにあるのか?──武者小路実篤『真理先生』

真理先生 (新潮文庫) 作者: 武者小路実篤 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1952/07/02 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 31回 この商品を含むブログ (29件) を見る マリ先生ではなくシンリ先生。 その名の通り、弟子たちに真理を語り聞かせる代わりに生…

太陽まりい『ギャルごはん』感想

スポンサーリンク // ギャルごはん 1 (ヤングアニマルコミックス) 作者: 太陽まりい 出版社/メーカー: 白泉社 発売日: 2017/06/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 悪意がどこにも存在しない漫画というものはいいものです。 疲れているときは…

読めば又吉直樹が好きになる一冊。又吉直樹『夜を乗り越える』

夜を乗り越える(小学館よしもと新書) 作者: 又吉直樹 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016/06/01 メディア: 新書 この商品を含むブログ (14件) を見る 昔から、「辛口批評」のたぐいがどうも苦手だ。手厳しく批判するのが悪いと言いたいわけではない。それ…

醜い者は分相応に生きよ──福田恆存『私の幸福論』

私の幸福論 (ちくま文庫) 作者: 福田恒存 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1998/09/01 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (70件) を見る 女はとかく外見を品評される。今は男だってそうかもしれない。大事なのは人格だと言…

個性的であれという呪縛が人を苦しめる──南直哉『なぜこんなに生きにくいのか』

なぜこんなに生きにくいのか (新潮文庫) 作者: 南直哉 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/09/28 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (7件) を見る ある時期から、どうもブログの世界が居心地が悪い、と感じるようになった。 …

『王様でたどるイギリス史』

スポンサーリンク // 王様でたどるイギリス史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2017-02-22 『パスタでたどるイタリア史』は面白い本だったが、それに比べるとこれはかなり個性は控えめな印象。パスタやお菓子など、あまり普通の…

『嫌われる勇気』に対する真摯な批判

『嫌われる勇気』の最大の問題点は何か 先日、宇樹義子さんによるこちらのエントリを読んだ。 decinormal.com このエントリでは、『嫌われる勇気』によって有名になったアドラー心理学のデメリットについて簡潔かつ丁寧に解説されている。このブログでも以前…

高橋祐一『緋色の玉座』感想:スニーカー文庫で読める東ローマの歴史小説

スポンサーリンク // 緋色の玉座 (角川スニーカー文庫) posted with カエレバ 高橋 祐一 KADOKAWA 2017-05-01 こういう作品がスニーカー文庫から出るというのがまず驚き。 東ゴートやヴァンダル、ササン朝の地図が見られるラノベはなかなかない。 表紙を飾る…

木下昌輝氏の珠玉の文章が光る一冊。『決戦!川中島』

スポンサーリンク // 歴史小説というものはその構造上、結末はあらかじめわかっている。 海外のマイナーな事件を取り上げたものなら別だが、題材が日本史なら、ある人物がどのような結末を迎えるのかは調べればすぐにわかる。 いわば最初から全部ネタバレし…

史実の「三国志」について学べるおすすめ本を12冊紹介します。

スポンサーリンク // こういうエントリを読むような方は「三国志にはフィクションである三国志演義と陳寿の書いた正史である三国志が存在して……」などという話はとっくにご存知だと思いますのでそのへんは省略します。 書棚を見たら今まで読んだ三国志本が結…

『パスタでたどるイタリア史』感想:パスタとイタリアの歴史を両方楽しめる贅沢な一冊。

スポンサーリンク // パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2011-11-18 Amazon 岩波ジュニア新書には名著が多い 岩波ジュニア新書って名著の宝庫なのでは?と最近思っています。 『砂糖の世界史』なんてそ…

綾辻行人『Another エピソードS』感想:さらなる続編はあるのか?

スポンサーリンク // Another エピソードS (角川文庫) posted with カエレバ 綾辻 行人 KADOKAWA/角川書店 2016-06-18 Amazon 今回は前作とは打って変わって賢木晃也の「幽霊」の立場から物語は紡がれる。 正直に言って、この内容は肩透かしだった。 Another…

「趙の三大天」李牧の兵法と冒頓単于についてのメモ

スポンサーリンク // キングダム 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) posted with カエレバ 原泰久 集英社 2012-06-22 Amazon 史実でも名称だった李牧 キングダムでは趙の「三大天」の一人ということになっている李牧。 この漫画は1巻しか読んだことがな…

命を繋いだものが勝つ、という生き方もある。佐藤賢一『カペー朝』

スポンサーリンク // カペー朝―フランス王朝史1 (講談社現代新書) posted with カエレバ 佐藤賢一 講談社 2009-07-17 Amazon 野心は一代で達成しなくてもいい 軍師官兵衛の中で一番記憶に残っている人物は荒木村重です。 妻子を置いて城から逃げ出しても、「…

アイヌ民族の歴史と文化について知るならまずはこの一冊。瀬川拓郎『アイヌ学入門』

スポンサーリンク // アイヌ学入門 (講談社現代新書) posted with カエレバ 瀬川 拓郎 講談社 2015-02-19 Amazon 著者の瀬川拓郎氏は今まで何冊かアイヌ関連の書籍を上梓していますが、これが一番わかりやすいと思います。 序章ではアイヌの歴史について簡潔…

ウイリアム・ウォレスはキルトを着ていなかった。『スコットランド 歴史を歩く』

スポンサーリンク // スコットランド 歴史を歩く (岩波新書) posted with カエレバ 高橋 哲雄 岩波書店 2004-06-18 Amazon スコットランド史の本はなかなか見かけないのでこの本は貴重。 この1冊があれば、あまり知られることのないスコットランドの近世の歴…

「この世にいない者」として扱われたかった人もいる。綾辻行人『Another』

スポンサーリンク // Another(上) (角川文庫) posted with カエレバ 綾辻 行人 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-11-25 Amazon 綾辻行人は館シリーズしか読んだことがなかったが、どちらかというと本格ミステリよりもこういうホラーとい…

AKBの被災地訪問と、握手会襲撃の衝撃。『AKB48、被災地へ行く』

スポンサーリンク // AKB48、被災地へ行く (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 石原 真 岩波書店 2015-10-21 Amazon もともとアイドルに興味のない自分でも、152ページで震えましたよ、これは。 忘れもしない2014年のAKB握手会の襲撃事件、起こった場…

森岡正博氏の『草食系男子の恋愛学』について

d.hatena.ne.jp 生命学者の森岡正博氏が恋愛工学の批判を展開している。恋愛工学のような女性蔑視的なノウハウに対して、森岡氏が「女性蔑視でない本物のアプローチ」として持ち出しているのがご自身の著書である『草食系男子の恋愛学』だ。 草食系男子の恋…

北方謙三『水滸伝』の面白さとは何か?大ベストセラーの魅力を紹介。

スポンサーリンク // 水滸伝 一 曙光の章 (集英社文庫) posted with カエレバ 北方謙三 集英社 2012-09-28 Amazon とにかく理屈抜きで熱中できて面白い小説は何かないか?と言われれば、僕はまず北方水滸伝を推します。 前提となる中国史の知識も特にいらな…

恐山は「死者への想いを預かるロッカー」だ。南直哉『恐山 死者のいる場所』

スポンサーリンク // 恐山には「極楽浜」と呼ばれる場所がある。 硫黄の匂いが立ち込める「地獄谷」や「賽の河原」と呼ばれる荒涼とした風景を抜けると、美しい湖のほとりに白砂の浜があり、数限りない風車が数百メートルにわたって立ち並ぶ。 もともとは、…

貧困、アルコール中毒、ドラッグ……アメリカの「最底辺」で苦悩するネイティブアメリカンを描く一冊。鎌田遵『ネイティブ・アメリカン』

アメリカ社会の「最底辺」に位置するネイティブ・アメリカン これは衝撃的な一冊だ。 居留地では社会への閉塞感からアルコール依存症に苦しむ人が少なくない。 失業率も高く、ナバホ族の37%は貧困線を下回る生活を送っている。 親族にドラッグを売る売人す…

大河ドラマには出せない黒田官兵衛のブラックな所業を描く小説。葉室麟『風渡る』

スポンサーリンク // 黒田官兵衛と言えば、信長の将来性をいち早く見抜き、主君の小寺政職に毛利ではなく織田に付くように進言した人、というイメージがあるのですが、どうもこうした人間像は小説や大河ドラマで作り上げられたもののようで。 軍師の境遇 新…

室町バーサーカーが江戸時代に消え去った理由とは何か?磯田道史『徳川がつくった先進国日本』

スポンサーリンク // togetter.comこれを読む限り、室町時代ってのはそれはそれは怖い時代だったようで。 下女の商売上のトラブルから町中での喧嘩が始まり、最終的には軍隊同士の衝突まで起きるという地獄絵図のような世界が上記のまとめでは紹介されていま…