明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

読書

中世ヨーロッパの生活や服装・食事を知るためのおすすめ本20冊

歴史関連の本はどうしても政治史について書いているものが中心になりがちですが、幸い中世ヨーロッパ史については生活史についての著書も多く出版されています。これらの本は政治史を補完する内容として興味深いだけでなく、ファンタジー創作のための資料と…

『食い意地クン』に久住昌之の凄さを見る

食い意地クン (新潮文庫) 作者: 久住昌之 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/10/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る 一見なんてことない食い物エッセイのようにみえるし、そのように読むこともできる。でもじっくり読んでみると、 や…

半藤一利『昭和史 1926-1945』と近衛文麿の評価について

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー) 作者: 半藤一利 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2009/06/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 11人 クリック: 125回 この商品を含むブログ (107件) を見る 語りおろしなので読みやすいが、それでも読み終え…

万人敵・震天雷・流星錘……バラエティ豊かな中国史上の兵器を網羅した『Truth in FantasyⅧ 武器と防具 中国編』

武器と防具〈中国編〉 (Truth In Fantasy) 作者: 篠田耕一 出版社/メーカー: 新紀元社 発売日: 1992/05/01 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (4件) を見る 表意文字である漢字の強みは、字面だけで雰囲気を出せることだ。中国…

大英帝国の中でハイランダーはどう生きたか──井野瀬久実恵『大英帝国という経験』

興亡の世界史 大英帝国という経験 (講談社学術文庫) 作者: 井野瀬久美惠 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/12/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る これは興亡の世界シリーズの中でも注目されるべき一冊であるように思う。というのは、本書で…

観応の擾乱に災害が及ぼした影響とは?亀田俊和『観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』を読んで

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書) 作者: 亀田俊和 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/07/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る あとがきに書いているように、著者の亀田俊和氏は天邪鬼な…

阿部正弘という人物をどう評価するか?半藤一利・出口治明『明治維新とは何だったのか』

明治維新とは何だったのか 世界史から考える 作者: 半藤一利,出口治明 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2018/04/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 幕末史や昭和史に関する著書を多数発表している半藤一利氏と世界史の著作の多い出口治明氏の…

ヒアリなんて序の口!「痛みの鑑定人」昆虫学者が虫刺されの痛みを科学する『蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』

蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ 作者: ジャスティン・O・シュミット,今西康子 出版社/メーカー: 白揚社 発売日: 2018/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「○○してみた」もここまでくると命がけだ。「痛みの鑑…

陳舜臣『中国の歴史』は中国史入門としておすすめの本

中国の歴史(一) (講談社文庫) 作者: 陳舜臣 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1990/10/08 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (10件) を見る ある国の歴史を知ろうとしたとき、入り口としては概説書と小説があります。 概説書の…

塩野七生『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』におけるアレクサンドロス大王の評価について

ギリシア人の物語III 新しき力 作者: 塩野七生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/12/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ギリシア人の物語の最終巻となるこの巻では、ペロポネソス戦争が終わり、ペルシアに翻弄されて混迷を深める…

中公文庫『日本の歴史』の面白い巻をおすすめしてみる

古いながらもいまだに多くの人に愛読されている中公文庫『日本の歴史』シリーズ。日本史の入門書として紹介されることも多いし、実際に内容は充実しているのだが、この詳しさが逆にこれから手に取る人をたじろがせる原因になるかもしれない。もっと簡潔な日…

シリーズ日本古代史5『平安京遷都』に見る武士の起源

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書) 作者: 川尻秋生 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (13件) を見る 平安時代は今ひとつ日本人にとってなじみがない。時代区分で…

日本史のおすすめ本を20冊紹介してみる

手元の概説書や新書、読みやすい専門書などの中から面白く読める日本史のおすすめ本を選んでみました。受験に役立つ内容ではありませんが、面白いだけでなく何かしら得るところのあるものを選んでいます。今後の読書の参考までにご覧ください。 中公文庫 日…

磯田道史『江戸の備忘録』には磯田史学のエッセンスが詰まっている

江戸の備忘録 (文春文庫) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/11/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る よく「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」などと言われる。 『江戸の備忘録』は磯田道史の処女作ではな…

信長の政治は同時代人にどう見られていたのか?を神田千里『戦国と宗教』に探る

戦国と宗教 (岩波新書) 作者: 神田千里 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/09/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 神田千里氏の『戦国と宗教』は一向一揆やキリシタン大名、戦国の「天道」思想など戦国時代の宗教について語っている…

司馬遼太郎のおすすめ作品は『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読むとわかる

「司馬遼太郎作品はただのフィクション」と切り捨ててよいか 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517) posted with ヨメレバ 磯田 道史 NHK出版 2017-05-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 7net 司馬遼太郎という人は特別な作家です。多くの人は…

磯田道史のおすすめ本ベスト1は『無私の日本人』では他の本はどうか

磯田道史氏はNHKBS「英雄たちの選択」の司会であり、『西郷どん』の時代考証も担当している。現代の歴史学者としては一番名前が知れている人かもしれない。テレビで見かける巧みな比喩を用いたわかりやすい解説は著書でもそのままで、歴史書としては無類の読…

チンギス・カンは「鉄の申し子」だった──白石典之『チンギス・カン "蒼き狼"の実像』

チンギス・カン―“蒼き狼”の実像 (中公新書) posted with カエレバ 白石 典之 中央公論新社 2006-01 Amazon 楽天市場 Yahooショッピング シヴィライゼーションをプレイした人なら誰でも理解できるのは、資源の重要性だ。プレイ初期に銅や鉄などの重要資源を確…

始皇帝研究の最前線に触れられる。『キングダム』愛読者にもおすすめの『人間・始皇帝』

人間・始皇帝 (岩波新書) 作者: 鶴間和幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る 講談社の中国の歴史シリーズの『ファーストエンペラーの遺産』の著者でもある鶴間和幸氏が始皇帝についての最新…

不法移民のリアルを余すところなく描き出す渾身のルポ『ルポ不法移民 アメリカ国境を超えた男たち』

ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち (岩波新書) 作者: 田中研之輔 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/11/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る これは読み進めるのがしんどい。だが一番辛いのは、本書に登場する不法移民たち…

キング牧師の「道徳的柔術」がアメリカを変えた──黒崎真『マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士』

マーティン・ルーサー・キングという人の一般的なイメージは「演説家」だろう。もちろんそれは正しい。キング牧師が演説家として卓越した能力をもっていたことは事実だ。ただ、差別解消のための手段として見るなら、演説は正しい戦術と組み合わせることでは…

シャルル禿頭王、カール肥満王……なぜ中世ヨーロッパにはあだ名が多いのか?を解き明かした『あだ名で読む中世史』

中世ヨーロッパは「あだ名文化」の時代だった あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる 作者: 岡地稔 出版社/メーカー: 八坂書房 発売日: 2018/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 中世ヨーロッパとは、「あだ…

佐藤賢一『フランス革命の肖像』におけるルイ16世の評価について

フランス革命の肖像 (集英社新書ヴィジュアル版) 作者: 佐藤賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2010/05/14 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 25回 この商品を含むブログ (9件) を見る 「男は40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持たなくてはいけない」な…

百年戦争をわかりやすく解説してくれる入門書──佐藤賢一『英仏百年戦争』

歴史系の新書は、一度学者が書いたあと作家が面白く読めるように「超訳」することはできないだろうか、などと思うことがある。学者が皆宮崎市定や林健太郎のような読み物としても面白い文章を書けるとは限らないからだ。 もちろんそんなことは実現不可能だが…

世界史リブレットのおすすめの巻を紹介してみる

山川出版社からは世界史リブレットという小冊子がたくさん刊行されています。古今東西の多くのテーマを扱っていて、ページ数こそ少ないものの各分野の専門家が書いているため中身が濃く、コスパは決して悪くありません。姉妹編として『世界史リブレット 人』…

森川智之『声優 声の職人』で「帝王」がボーイズラブCDやダミーヘッドマイクについて語っていた

森川智之さんという方のことを、私はあまり詳しくは知りません。 とはいえ、岩波新書で声優を扱った本が出るとなれば気になるのも確か。 というわけで、さっそく読んでみました。 森川さんのブログが更新されています! はい、帯は写真のチョイスも含めて編…

眺めているだけでワクワクする。『世界をまどわせた地図』にはムー大陸からパタゴニアの巨人まで怪しい伝承満載

ドラゴンクエストはなぜ面白いのか、とたまに考える。 もちろんストーリーに惹き込まれるとか、レベル上げが楽しいということはある。 しかしやはり欠かせない要素として、「知らない世界を冒険できる」ということが挙げられるのではないだろうか。 ワールド…

磯田道史『日本史の内幕』感想:磯田道史はおんな城主直虎の仕掛け人だった?

日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで (中公新書) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/10/18 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 磯田道史という人はふしぎな人だ。まるで古文書の方から彼に近づい…

世界史の超おすすめ概説本を7シリーズ+5冊紹介してみる

書棚を見ていると世界史の書籍がかなりの冊数になったので、せっかくなので世界史を学んでみたいという方のためにおすすめの概説書を紹介してみることにしました。 なお、これから紹介する本は社会人が趣味として学ぶためのものを想定しています。たぶん高校…

呉座勇一『陰謀の日本中世史』が学会の大物から在野の研究者まで撫で斬りにしている件

陰謀の日本中世史 (角川新書) 作者: 呉座勇一 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/03/09 メディア: 新書 この商品を含むブログ (12件) を見る これは凄い。 880円の新書でありながら保元・平治の乱から関ヶ原の戦いに至るまでの中世史の概要を学べる。 …