明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

恋愛工学とブログ工学

恋愛工学というメソッドが批判されているのを最近よく見かける。批判されているポイントは色々とあるようだが、突き詰めると「一人の相手に誠実に接することは成功には繋がらない」といった身も蓋もなさが嫌われているようだ。実践内容がロマンチックラブイデオロギーと不整合を起こしてしまっているので、多くの人から不快に見えてしまうのは当然とも言える。


恋愛工学が実際役に立つのかどうかはわからないし、あまり興味もないが、とにかく多くのアクセスを集めることに特化した「ブログ工学」があったとしたら、その内容はどういうものになるだろうか。おそらく道徳や誠実さなどは度外視した、かなり身も蓋もない内容になるのではないかと思う。私のTLでも、「一生懸命考察してブログを書いても、結局煽りまとめサイトに影響力では全く及ばない」という嘆きを聞くことがある。アクセスを稼ぐなら、おそらくは釣りタイトルで煽ったりデマを飛ばしたりする方が効果的だろうし、道徳に縛られない方が強い。炎上させてでもとにかく目立てばそれが正義だ。


そもそも人の感情を揺さぶって注目させる手法など週刊誌が今までさんざん行ってきたことで、その手法をまとめサイトが取り入れるようになっただけ、とも言える。そんな煽るようなやり方で注目を浴びても長期的な信用は得られない、という批判は正しいが、読んでもらえないブログは存在しないのと同じだ。どんなに誠実で信用できる人でも、まずその存在に気づいてもらえなければ何も始まらない。真面目に書いているが感情を揺さぶられないブログは、いい人だけれど付き合う対象としては考えられない人みたいなものだ。個人的にはそういう真面目なブログが好きなのだが、そう思う人間が多数派はではないからまとめサイトがネットを席巻している。


そういえばこんな漫画もあった。

blog.livedoor.jp

 

この店主のこだわりも、独りよがりと言われればそれまでである。売れるラーメンを作りたければわかりやすく大衆にアピールできなくてはいけない。商売だからそれは仕方がない。まとめサイトだって商売だから、自分がどうありたいか、何を主張したいかといった部分はすべて切り捨ててひたすら読み手の欲望に忠実におもねるし、そのほうが確実にマスに訴えることができる。「自分」を持たないがゆえの強さだ。


そんな商売の論理で切り捨てられる人間的な部分が好きなものの一人としては、少しでも好きなブログの声を拾い上げたり、自分で言いたい事を言っていくしかない。そういうことが個人ブログの「仕事」なのだと思う。