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明晰夢工房

主に自分語りです。

「ファンタジーじゃがいも警察」に対する私見

創作

togetter.com

中世風ファンタジー小説にじゃがいもが登場すると、「現実の中世ヨーロッパにはじゃがいもなど存在しなかった」と指摘する人を「ファンタジーじゃがいも警察」と呼ぶらしい。個人的にはそういう人は見たことがないが、歴史に詳しかったりすると、小説に描かれた世界がどうも雑に見えて仕方がない、というのはままあることだと思う。

ファンタジーとは異世界を描くものであり、異世界なのだからこの世界にないものが存在していてもおかしくはない。その意味で、中世ヨーロッパ「風」ファンタジーにじゃがいもが出てきても特に問題はないはずだ。異世界はこの地球とは気候も植生も生態系も何もかも異なっているだろうから。もちろん統治機構や宗教や軍事制度まで史実の中世ヨーロッパ通りのファンタジーがあってもいいと思うが、そこまで史実にこだわるならそれはファンタジーである意味はあるのか、という疑問も出てくる。

物語は現実に存在しないものを描くから魅力的、ということもある。中世風ファンタジーの設定を批判する人は、そうした作品に登場するご都合主義のヒロインや美少女についてもこんな人間はありえないと批判するだろうか。そうしたヒロインは読者の要望に応えるために必要だというなら、じゃがいも料理だって読者の要望に応えるために出していいかもしれない。その世界の有り様を大きく壊してしまうものでなければ、現実と異なっても出して構わないのではないかと思う。

 

まおゆう魔王勇者 (2) 忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀

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ただしこれは、その作品が何をウリにしているか、にもよる。『ドゥームズデイ・ブック』のようにリアル中世にタイムスリップするような作品ならやはり中世に存在しなかった作物を出すわけにはいかないし、中世ヨーロッパ風の世界で内政頑張って人口増やします、みたいな話にするならじゃがいが歴史上どんな役割を果たしたかも知らないわけには行かない。実際、『まおゆう』の世界では馬鈴薯は国力を増すための超重要アイテムだった。

小説に何を求めるかは人それぞれである。ファンタジー世界の設定が雑で入り込めない人は、おそらく最初からそうした小説の読者層として想定されていない。あまり細かい「時代考証」をしなくても売れるという現実があるからである。そういうことが気になる人は重厚な歴史小説学術書を読めばいいのではないかと思う。

 ところで、このテーマについて書いていてなんとなく興が乗ったので短編を書いてみました。よろしければどうぞ。

幼馴染はじゃがいも警察