明晰夢工房

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「小説家になろう」の投稿作品は意外と偏ってはいないという話

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「小説家になろう」でランキング入りしている作品ががほぼ同ジャンルに集中しているというのはその通りで、だからなろうにはこのような作品ばかりが投稿されていると思われがちなのだが、実際には多様な作品が投稿されている、という分析がある。

 

データで見る「小説家になろう」 - 第二回 テンプレvs非テンプレ

 

この文章の中では、なろうで評価されやすい「テンプレ」作品とそうでない「非テンプレ」作品との比較が行われている。この分類法で行くと、『「全投稿作品のうちテンプレは15%」だというのに、その15%が「全ポイントの75%を占めている」』のだそうで、実は多様な作品が投稿されているのだが、「非テンプレ」作品はあまりポイントを受け取れないためランキング入りせず人目に触れることもない、という結果になっている。

 

実際、自分の周りを見ていてもなろうで作品を発表していても典型的な「なろう小説」を書いている人を見たことがなく、むしろそういうものを苦手としている人が多い。はてなでブログを書いているからといって皆が理屈っぽいわけではないのと同じことである。ただ、読者が求めるものはかなり似通っていて、その結果上記の文章で主張されているように「作者の八割は非テンプレを書いてるけど、読者の八割はテンプレを望んでいる」という状況になっている。

 

なぜなろう小説の読者の傾向がこのようになっているのかはわからない。デフレが続き将来に期待が持てなくなっている若い世代が唯一望みを託せるのが「異世界への転生」なのではないかと考えたこともあるが、所詮は俗流若者論の域を出ない。カクヨムではもっと多様な作品が目に触れるようになることを期待している人は多いかもしれないが、ネット小説の読者の傾向がこういうものであるとすれば、早晩似たような作品が溢れかえることになるかもしれない。投稿者は皆評価されたいし、高評価された作品が将来的に書籍化されることもあり得る以上、そこに人が集中するのは当然のことだからだ。

 

もしカクヨムが今の小説家になろうのようにならないことを望むなら、読者の側が主体的になろうのテンプレ小説と異なるタイプの良作を探して評価していく、ということが求められる。読者も投稿サイトを作っている一人なのだから、テンプレ以外も評価されるべきだと主張するならまず自分から、だ。

 

ただ個人的には今の「異世界転生バブル」がいつまでも続くとも思えず、いずれ大きな反動が来るような気もする。個人的願望も混ざっているが、そのうち「異世界疲れ」からまた別の流れも生まれるかも知れない。