明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなど

百万本のバラ

相手との距離感も測らずに一方的にプレゼントを贈るなんておかしい、それくらい考えればわかるだろうというのは一般論としては正しいし、あれがあのケースにおける正解ではなかったことは明らかなのでそこについて論じる気は全くない、のですが。

 

ただ、間違ったことをしてしまったのは当人なりに考えてのことかもしれないし、距離感にしても当人の中では測ったつもりだったかもしれず、結果としてそれは正解ではなかったわけだけれどもそれをあそこまで皆で叩くような雰囲気にはどうも僕としては乗り切れないものもあるわけで。

 

自分があまりそういったことがわからない人間だからというのもあるけれど、それ以上にあそこでとにかく自分の主張が人間関係における絶対の真実なのだと言わんばかりの人達にもあまり近寄りたくない感はあって、あの人達は自分は絶対に勘違いから相手を不快にさせることはないのか、こっちは対人スキルに自信ニキみたいな人からだって嫌な思いをさせられることは多いんだけれどね、などと皮肉なことも考えていたりして。その自信ゆえに自覚なく他者を傷つけている可能性だってあるんじゃないですか、とは思う。

 

あるいは彼は発達障害を持っていたのかもしれないし、その場合はこれは変更不可能な要素を叩くという差別そのものではないのかとか、そこまで行かなくても人間関係が苦手であることはあそこまで総出で叩かなければいけないことなのか、と一抹の疑問無しとはし得ない。そういうのはPCに反するということになったら掌返す人も出てくるのだろうか、などという思いもあったりする。

 

人間関係で何が正解かなんてことは本当に難しくて、いつだったかある人が結婚に至る道を語るスレで、最初のデートで鉄道喫茶なるものに連れて行かれたと書いていたことがあります。彼女はそれは特に気にならなかったらしく、その男性と結婚することになったわけだけど、これだって失敗していたらなんでいきなりそんな趣味全開のところに連れて行くんだよ、これだからオタクはとか言われる話じゃありません?別に彼女の思考をリサーチしした上で行ったわけではないようだし。一般論としてならこれは正解ではなさそうだけど、相手次第ではOKなこともある。そして結果オーライなら何も言われない。

 

じゃあお前ならいきなり少女漫画どっさり持ってこられたらどうすんのよ、となりそうだけどそれは相手次第だと思うし、それだけで不正解ということにはならないと思います。相手もそうすれば喜ぶだろうと思ってやったのだろうし、戸惑ったにしてもなんだこのバカは、と嗤う気にはなれない。件の彼にしても自分が漫画をもらったら嬉しいから相手もそうだと思っただけかもしれない。それが不正解だったのはわかるけど、それで喜ぶ人もごく小数ながらいるのかもしれない。そして少数派だから間違っているということにはならない。

 

何が言いたいかというと、要は僕は「俺が人間関係の正解を教えてやる」といったノリの人物がどうにも苦手だということです。経験上そういった人物こそこちらを不愉快にする振る舞いが多かったし、当人が言うほど対人スキルも空気読み能力もないことが多かったので。

 

面識もない人にたくさんのバラを贈ったら相手は重いだろう、というのはわかるし、それを指摘するのもいい。でもその間違いを声高に指摘してこんなバラは何の役にも立たない、お前の独り善がりの欲求の表れだと断罪を始める人がいたら、僕はそっとその場を立ち去るでしょう。そのような人は別の場面では当人の考える間違った正解をこちらに押し付けてくるかもしれないから。