明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

五年ぶりに出戻った元はてな民から見える光景

最近、ようやくはてなブログに慣れてきた

僕が去年ここ、はてなブログで日記を書き始めたのが去年のことです。よく覚えていませんが、以前はてなダイアリーで日記を書いていたのがその頃から五年ほど前だったと思います。五年ぶりに戻ってきてはてなブログを始めたのですが、最初はかなり戸惑いました。ここで展開されている話題が、五年前とはすっかり様変わりしていたからです。

 

saavedra.hatenablog.com

以前、こんな記事を書きました。これははてなブログでアクセスアップやお金を稼ぐ方法についての記事が多く見られることに、当時は違和感を感じていたからです。え、はてなって承認欲求がどうだとか文化系女子がこうだとか、そういう他のブログサービスではできないややこしい自意識を吐き出す場所じゃなかったの……?と、浦島太郎気分を味わっていたのです。

 

実は昔だって普通の日記を書いていた人ははてなにもたくさんいて、単に自意識を扱うような記事が目立っていただけなのですが、そういうものがあまり目立たなくなり、 今度は「どうすれば稼げるのか?」という、もっと即物的な記事が目立つようになってきた。こうした記事に対する反発というのは今でもあるようで、時々互助会がどうこうとか言うことが話題になったりしますが、今は僕自身は以前よりもブログで「稼ぐ」ということに関してはだいぶ肯定的になりました。アフィリエイトも本当に良いものを紹介するのならどんどんやればいいと思ってますし、そういう意味では今のはてなブログにもだいぶ慣れたのかな、と思っています。

「ブログで稼ぐなんて卑しい」という選民意識

以前はこういうことをよく考えていたのですが、今思えば「ブログで儲けることを考えるなんて邪道だ」というのは、一種の選民意識だったような気がします。以前のはてなダイアリーのノリを覚えている僕にとっては人間の内面の問題を探求したり、社会問題を論じたり、あるいは学術的な話題について書くのが高級なブログで、お金を稼ぐことやアクセスを集めることを考えたり、人気者になるライフハックについて書くようなブログは俗悪で低級なブログだという思い上がった考えがあったように思います。

 

この認識が変わったのは、創作を始めてからです。これは何度も書いていますが、創作をするモチベーションには承認欲求は欠かせません。褒められなくて良いのなら、そもそも人前に発表する必要性がないのです。ウェブ小説なんてお金はもらえないのだから、褒められるほうがやる気が出るに決まっています。自分で小説を書くにあたって、やはりこういう俗な欲求を退けてはいけない、と考えるようになったのです。

 

ブログだって同じことです。なんだかんだと言って、お金が稼げるというのはブログを書く上で強力なモチベーションとなり得ます。「ブログ飯」は難しいとしても、ブログを書いて月に数千円くらいお小遣いが増えて悪いわけがありませんし、お金はあればあるだけ良いに決まっています。お金を稼ぐ記事を軽蔑するにしても、じゃあお前はそういう記事以上に有益な何かを読者に提供できているのか?と問うてみた時、僕の中には返す言葉がありませんでした。

「普通」の人が多くなった

良くも悪くも、以前よりもはてなブログには「普通」の人が増えたように感じています。数日前に『嫌われる理由』の記事を書くに当たってはてなブログでこの本がどう言及されているのかを見てみたのですが、大部分は肯定的なものでした。はてなだから僕みたいにひねくれた言及をする人が大部分だろう、という目論見は外れていました。

 

この本がベストセラーになっているので、その傾向がそのままはてなブログにも反映されていたのです。色々とこじらせた感じの人も相変わらずはてなにはいるようですが、そういう人はもはやメインストリームではなくなったようです。そのことが良いのか悪いのかは僕にはわかりません。ただ変わったんだな、と今は思うだけです。

こじらせた人は匿名ダイアリーに移動した

それでも相変わらずというか、昔のはてならしい話題も時折表に出てきます。以前も取り上げましたが例えばこういう話。

 

anond.hatelabo.jp

はてなブログではこういう話が以前ほど流行らないので、今はこういう話題は匿名ダイアリーでするものということになっているのかもしれません。こういう表で言いにくい話は匿名ダイアリーの方が向いているし、はてなブログにこういう人が居づらくなった以上、こうした記事は今後も匿名ダイアリーで書かれ続けるんでしょうね。

すべてが商業的に洗練されていく

先に「はてなブログには普通の人が多くなった」と書きましたが、はてなブログに集う人は普通というより、もう少し意識の高い人たちかもしれません。今でもアクセスアップや稼ぐための記事は多いですが、多くの記事では読まれる記事を書くための方法をかなり真面目に論じています。読者の目線に立ち、需要のある記事をきちんとキーワードを盛り込んで記事を読んだ人の役に立つように書く。極めてまっとうです。何しろお金を稼ぐためなのだから、自分が言いたいことよりも読者が読みたい記事を書く事が優先されるのは当然のことです。それは何も間違ってない。

 

でも、そいういう記事が増えるほどに、思いの丈をそのままウェブにぶちまけるような生々しい記事というのは減っていくんだろうな、とも思うわけです。今は一見言いたい放題言っているような記事でも、アクセスを稼ぐような記事は実は極めて巧妙に計算されていて、効果的に読者の感情を揺さぶるように書かれています。今はうっかり変な事を言って炎上するタイプの人というのは少なくて、炎上すら商業的です。一言で言うと、読まれるブログはどこも雰囲気が「マスコミっぽい」のです。読んでいる人も普通の人なのだから、読者に受けるようにカスタマイズすれば当然そうなるでしょう。

じゃあ、このブログはどうするの?

このブログの方向性というのははっきり決まってるわけではないし、今後も特に決める気もないんですが、どういうネタが受けるか試してみたい気持ちもあるので、試みにライフハック記事などを書いてみようかという気持ちもあります。メインは創作とか読書の話とかになるでしょうが。ただ、時には昔のはてな民しかしなかったような仄暗い自意識の話なんかもしてみたい気持ちはありますね。