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明晰夢工房

主に自分語りです。

郭淮って本当に病弱だったの?

三國無双では「晋」の勢力に入っている郭淮

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僕は無双orochiの中でしか見たことがないですが、見るからに病弱で顔色が悪く、いつも咳き込んでいるというキャラクターになっています。

ゲーム中では女好きで人生が楽しそうな郭嘉を羨ましがる一幕もあったりする郭淮ですが、この病弱キャラには何か根拠があるんでしょうか。

 

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というわけで、ちくま三国志郭淮伝を読んでみます。

世界古典文学全集 第24巻 B 三国志 2

世界古典文学全集 第24巻 B 三国志 2

 

実際に病気してるのは二回だけでした

 郭淮のキャリアのスタートは平原府の丞です。最初は文官だった郭淮ですが、後に曹操劉備のいる漢中を攻めるため夏侯淵を派遣したときに夏侯淵の司馬となりました。司馬は基本は軍の行政官ですが軍の指揮を執ることもあります。

 

夏侯淵は定軍山で黄忠に攻められて命を落としますが、実はこの時、郭淮は病気で出陣していませんでした。出陣していたら夏侯淵と一緒に死んでいたかもしれません。このときは病気が幸いしました。結局郭淮は散り散りになった兵をまとめて張郃を大将にしたため、ようやく混乱していた兵がまとまりました。

 

この時諸将は劉備が勢いを増しているので水際に沿って陣を築き防ぐことを主張しましたが、郭淮は「弱く見せかけても劉備軍を防げない、水から離れたところに陣を築いて劉備が川を半分渡ったら攻めれば良い」と主張しました。結局劉備は警戒して攻めてくることはありませんでした。このように若い頃から郭淮は沈着な人物だったようです。

 

二度目の病気は、文帝(曹丕)が皇帝になったことを慶賀するため都にのぼったときです。病気になったため郭淮は祝宴に遅れてしまい、文帝はこのことで「禹が諸侯を塗山に集めたとき防風氏は遅れたため死刑になった」と郭淮を責めますが、郭淮は「五帝は民を徳で教化したので、堯舜の時代に生きる私は刑罰を免れると思っています」とやり返しました。

 

文帝はこの言葉を喜んで、郭淮を雍州の刺史代行とし射陽侯にとりたてました。郭淮はこのように弁も立つ人物だったのです。郭淮伝を見る限り、彼が病気をしているのはこの二回だけです。割と肝心なときに病気をしているので病弱なイメージになったのかもしれませんが、本当に病弱なら将軍として武功は立てられないでしょうから、別に身体が弱かったわけではないのでしょう。

異民族対策に活躍する郭淮

郭淮の本格的な活躍はこれからです。郭淮が赴任した雍州とは、異民族である羌族が漢族と雑居している土地で、羌族がたびたび反乱を起こす統治の難しい土地でした。

 

郭淮羌族が反乱を起こすと兵を発してその首領を破り、統治を安定させるために羌族のことを詳しく把握することに努めました。郭淮はあらかじめ人をやって羌族の親戚関係や男女の数などを調べておき、実際に羌族と会見したときは一、二度質問しただけで内情をすっかり把握していたので羌族は「神のごとき明察」だと驚いたといいます。

魏の撤退戦にも活躍

このように羌族の内情に通じていたことが、将来的にも役立つことになります。諸葛亮は第三次北伐で司馬懿と対決したものの結局兵糧不足で撤退することになりますが、追撃してきた張郃を射殺することに成功しています。このとき魏でも兵糧が足りなかったため、郭淮は恩義をもって従わせた羌族から食料を出させ、輸送の仕事を公平に割り当てて前線に運ばせたため魏の敗北も致命傷にならずにすみました。

 

この後、郭淮は雍州で蜀の脅威に対抗し続け、姜維を何度も破っているせいなのか、蜀びいきの三国志演義では姜維に放った矢をつかみ取られ、逆にその矢で射られて死ぬという最期を迎えていますが、実際には255年に死去したと書かれているだけです。普通に病死だったのでしょうが、なんの病気だったかはわかりません。

郭淮は愛妻家?

郭淮三國無双の中では愛妻家というキャラ付けになっているようですが、これは『世語』のエピソードが元になっているようです。

 

郭淮の妻は王凌の妹でしたが、王凌が司馬懿に反乱を起こして処刑されたときこの妻も連座することになりました。羌族の首領数千人が妻を行かせないで欲しいと涙ながらに懇願しましたが、郭淮は聞き入れませんでした。郭淮がいかに羌族に慕われていたかがよくわかります。

 

結局、郭淮の五人の子が叩頭して額から血を流しつつ懇願したため郭淮は左右の者に妻の後を追わせました。これが郭淮の本心だったのでしょう。結局数千騎が郭淮の妻を追いかけ、妻は郭淮のもとに戻りました。郭淮司馬懿に「妻は連れ戻しましたが、法律上通用しないならば罪を受ける覚悟です」と書状を送り、結局妻は許されました。

 

ゲーム上の設定にすぎないと思われる特徴も、このように調べてみると意外と根拠があったりします。女好きなのでゲーム中で郭淮に「人生を楽しんでいる」と羨ましがられている郭嘉も品行が悪かったので真面目な陳羣には嫌われているという史実があったりします。こういうところにも歴史に触れる面白さがあります。