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義元の戦死の場面はどうなることかと思ったら一切描かれず。
直盛は自害するが、結局桶狭間の戦闘シーンも殆ど描かれなかった。
このドラマは徹頭徹尾、井伊谷を描くという方針で行くらしい。
だから井伊谷の外のことは最低限しか描かれないし、義元すら出てこない。
氏真は父の死に直面して家臣に事を丸投げして逃げてしまったが、今までのイメージ通り暗愚な人物として描くらしい。
変わって詳しく描かれるのは、直盛死後の井伊家の混乱。
直盛は遺言で井伊家を中野に任せると言っていた。
中野は井伊の分家であり、反小野派なので直親を矢面に立たせず井伊家を守るためにはそうした方がいいと判断したか。
小野政次と奥山の争いについては、とても小規模な争いをやっているなというのが正直な感想。
奥山の娘なつとその息子を実家に返せという奥山に対し、政次は井伊家が大変なときに自分の家のことしか考えていないのかと言返す。
言い分は正論だが、政次は言い方がいつも煽りっぽい。
父のような立ち回りができないのは、やはりまだ若いということか。
小規模な争いと書いたが、これこそが国衆のリアルだろう。
直虎を主人公にすればこういうドラマにならざるを得ない。
ただ、こういう井伊谷の中での揉め事をこれからずっとみせられるのかと思うと、これが大河ドラマという枠で求められるドラマなのだろうかと思ったりもする。
今までにない視点と言われればそうなのだろうけれども、もう少しスケールの大きい話を期待したいところだ。
直政が全面に出てくれば、もう少し話に広がりも出てくるだろうか。
真田丸もまた最初は国衆の物語だったのだが、真田丸の場合は井伊家のように後継者で揉めることはなかったし、当主の昌幸はじめ二人の息子も賢く、信尹のような優秀な弟や矢沢頼綱のような頼りになる一族もいた。人材も多いし一族の結束も硬い。対して井伊家は家中にまとまりがなく、智謀に長けていそうなのが小野正次しかいない。そしてその小野が家中で煙たがられているという何とも頭の痛い状況。
この状況下で奥山を小野が斬ってしまったため、来週からさらなる困難が予想される。
昌幸が乗り切った「天正壬午の乱」も大概だったが、昌幸は上杉と徳川と北条の勢力が拮抗しているのをいいことにこの混乱を巧みに乗り切った。
対してこれから井伊家が突入する「遠州忩劇」。
歴史を結果から見るなら井伊家はこれをうまく乗り切ったとは言い難いが、生き残っただけでも良しとしなければいけない状況かもしれない。
桶狭間で義元が勝っていれば家康が天下を取ることもなく、当然井伊直政が大大名に出世することもなかっただろう。
ただ、直盛が健在であれば井伊家も今川家の勢力下でそれなりの力を保っていられたのかもしれない。
これは家康も同様だ。
歴史とは結局何が幸いするか全く予想できない。
徳川幕府の代わりに今川幕府ができていたとして、井伊家は徳川家についた場合よりも幸運だったか?なんてことは誰にもわからないのだ。
それにしても、義元が死んだ時点ですぐに独立を考えられる家康はやはり只者ではない。
後に信長が滅んだ後すぐに甲斐に侵攻しているところを見ても、家康はとにかく決断すれば素早いが、この時点で家康はすでにそういう人物だ。
何が幸いと言って、直虎にとってはこういう人物がすぐ隣にいたことが最大の幸運なのかもしれないなあ。