明晰夢工房

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おんな城主直虎14回『徳政令の行方』感想:ここまで内政を丁寧に描く作品は他にはない。

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先週はノロウイルスで倒れていて感想が書けませんでしたが、このドラマは毎回挑戦的なことをやっていて大変素晴らしいと思っています。今回は前回に引き続き徳政令の話でしたが、方久に年貢を納めることになった村人が不満をつのらせて逃散する事態にまで発展してしまいました。

 

前回の方久のわらしべ長者劇場も面白かったですが、ここまで戦国時代の領主の内政をじっくりと描く作品は今までになかったはずです。実はこの日の昼は風林火山も観ていたのですが、確かにクオリティは高いものの内容には少し古さも感じてしまいました。合戦や謀略だけが歴史ドラマではない、ということを直虎を見るうちに強く感じるようになったからです。

 

ただし、この内容は楽しめる人は限られているとも思います。直虎が言っているとおり、「井伊家には人も金もない」という縛りプレイ状態で、前面に出てくるのが領国経営という地味なテーマなので、従来の大河らしさを求める人には合わないでしょう。

 

しかし、このような新しい試みは高く評価したいと思います。そもそも戦国大名も国衆も仕事の大部分は戦争ではなく領国の統治であって、華やかな合戦の影にあってそういう部分の苦労はあまり光が当てられてきませんでした。そこを敢えて正面から描くには、エピソードの少ない直虎が適任だったのではないかと思います。

 

今回の直虎は田植えを手伝って文字通り泥まみれになっていましたが、こういう泥臭い部分から目をそらさずきちんと描こうとする姿勢は支持したいと思います。大河も長年放映しているのだから、時にはこういう新しい視点から光を当てる作品があっても良いはず。

 

民百姓はただ領主から虐げられるだけの弱い存在ではなく、時にはしたたかな交渉者としての一面を見せることを描いているのも好ポイント。歴史とは一面的な見方では割り切れない、ということをきちんと描くシナリオも良いと思います。

headlines.yahoo.co.jpなのでこのような見方は、この作品の本質を何一つ捉えていない、表面的な見方でしかないと思います。

井伊家を支える男達が皆死に絶え、銭の亡者である方久の力にすがらなければ領国経営さえままならない窮状を余すところなく描いている本作は、月9ドラマとは全く対極にあるものです。「時代劇というよりラブコメ」と書かれていますが、今の政次は完全に直虎の敵でしかないのですが、本当にちゃんと観ているの?

 

来週は直虎と寿桂尼の対決のようですが、方久がどう井伊谷を発展させるのか?という部分も描いて欲しいところです。