明晰夢工房

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新元号の公表日が2019年4月1日なのは「二重権威」を避けるため?

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なぜ、もっと早く新元号を公開してはいけないのか……という疑問はどうしても出てくるのですが、5月17日の朝日新聞の記事にはこう書かれています。

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政府は当初、改元の準備期間を長くとるため今夏ごろの公表を検討。しかし、新元号の発表によって天皇陛下と新たに即位する皇太子さまという「二重権威」が生じるとの懸念が強まり、公表時期をできるだけ即位日に近づける方向となった。

 

「二重権威」の意味がよくわからないのですが、新元号を早く知らせてしまうと国民の関心がそちらへ向かってしまい、現陛下や「平成」元号の権威が低下してしまうということでしょうか。未来の元号への期待と「平成」を尊重することは両立できるので、早く発表したとしても特に問題はないと思うのですが。

 

元号の発表は今年夏くらいを予定したということは新元号はもう決まっているのだろうし、ぎりぎりまで伏せておいて国民に負担をかけることは現陛下だって望んでないのでは、と言ったら「忖度」になってしまうでしょうか。いずれにせよ、こういうことで新元号に良くないイメージが付いてしまうことは避けてほしいので、今からでも公表期日を前倒しして欲しいところではあります。

 

こういうことがあると、そもそも元号というのは必要なのか、西暦があれば十分なのではないか、という議論も出てきます。現在、元号というものを使っている国家は日本だけです。「大化」から「平成」に至るまで、日本では247もの元号が使われていて、ある意味日本のアイデンティティみたいな存在ともなっているわけですが、個人的には改元によって多少なりとも世の中の空気を変える効果みたいなものに期待する部分もあるので、なくして欲しくはないという気持ちもあります。世の中が変わるというよりは、単に自分が新しい元号を知りたいというだけかもしれませんが。

 

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過去の日本の改元の理由を調べてみると、その多くが飢饉や台風、地震など、災害によるものであったことがわかります。明治に入り一世一元の制が採用されてからは天皇が亡くならない限りは改元されなくなりましたが、今回の改元は特別です。皇室に不幸がないのに改元される、これはある意味画期的なことでもあり、この日本に「上皇」が誕生するという歴史的イベントでもあります。それだけに、あまり新元号のスタートに不満を持つ人を増やさないでほしい、というのが正直なところです。

 

「二重権威」というならば、そもそも同じ国に天皇上皇が同時に存在すること自体が二重権威です。それを問題ないとするなら、新元号の公開を早めることにも問題があるとは思えません。新元号は多くの人が早く知りたいと願っているのだろうし、公開時期については少しでも国民の期待に沿う方向で動いてほしいところです。