先週末、「キムンカムイとアイヌ」という企画展に行ってきました。
「キムンカムイ」とはアイヌ語で「山にいる神」の意味で、ヒグマのことを指します。
アイヌのマキリ(小刀)は美術品としての価値も高いのですが、今回は写真は撮らせてもらえず……
展示内容はかなり充実していて、アイヌの衣服や狩猟の写真、送り儀礼の飾りをつけたヒグマの剥製だとか、菅江真澄の描いた絵など無料で公開するのがもったいないくらいの内容だったと思います。
この企画展の会場で、国立アイヌ民族博物館のパンフレットをもらってきました。
この博物館がオープンする白老町のポロト湖畔ではアイヌ民族博物館が2018年3月まで運営されていましたが、2020年4月から新たに国立博物館としてオープンするとのことです。
現在日本には7つの国立博物館がありますが、国立アイヌ民族博物館は北海道でははじめての国立博物館になります。
館内のレイアウトはこの様になる予定。
2階にはシアターやカフェもあります。
展示のテーマは以下の6つです。
1.私たちのことば
アイヌ語という言語の紹介や日本語との関わり、アイヌ語地名の由来や口承文芸の紹介など
2.私たちの信仰
カムイ(神)を中心とするアイヌの世界観や自然観、死生観の紹介。
3.私達のくらし
AR技術を用いてアイヌの衣食住や音楽・舞踊、アイヌ文化の特色や地域差について紹介
4.私たちの歴史
アイヌの歴史の広がりを地図と年表が連動する「ヒストリーウォール」を使って紹介
5.私達のしごと
狩猟や漁労・最終・農耕など、アイヌの伝統的な生業について紹介
6.私たちの交流
交易品の展示からアイヌと周囲の民族との関わりを見ていく
http://www.ainu-museum.or.jp/kokuritsu/pdf/2020_kokuritsu03.pdf
これらの展示のほか、博物館の外にもアイヌ文化を紹介する空間ができます。
こちらのPDFには、博物館の外に「民族共生象徴空間」を作ると書かれていますが、ポロト湖畔では「伝統的コタン(集落)の再現」を行うとのことで、ここはアイヌの伝統的家屋(チセ)などを含めた狩猟や漁労などのアイヌの生活を復元する空間になるようです。
いまのところはオープンを待つことしかできませんが、元のアイヌ民族博物館からリンクされている『月刊シロロ』のバックナンバーの内容がかなり充実しているので、アイヌ文化を知るにはまずこれを読むと良さそうです。ハスカップがアイヌ語だということはこれではじめて知りました。
アイヌの歴史と文化の入門書としてはこれが一番おすすめです。ローマ帝国から伝わった伝説や沈黙交易、中尊寺金色堂とアイヌの金の関係など興味深いトピックを多く扱っていて、最後の章では差別についても簡潔に触れています。