明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

信長の政治は同時代人にどう見られていたのか?を神田千里『戦国と宗教』に探る

戦国と宗教 (岩波新書) 作者: 神田千里 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/09/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 神田千里氏の『戦国と宗教』は一向一揆やキリシタン大名、戦国の「天道」思想など戦国時代の宗教について語っている…

司馬遼太郎のおすすめ作品は『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読むとわかる

「司馬遼太郎作品はただのフィクション」と切り捨ててよいか 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517) posted with ヨメレバ 磯田 道史 NHK出版 2017-05-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 7net 司馬遼太郎という人は特別な作家です。多くの人は…

ヒトラー最期の12日間(感想)

ヒトラー 最期の12日間 [DVD] 出版社/メーカー: ギャガ 発売日: 2015/07/02 メディア: DVD この商品を含むブログ (6件) を見る あまりにもあちこちでネタにされすぎている映画だが、やはり観てよかった。重苦しい場面が多く、カタルシスなどまったく得られな…

磯田道史のおすすめ本ベスト1は『無私の日本人』では他の本はどうか

磯田道史氏はNHKBS「英雄たちの選択」の司会であり、『西郷どん』の時代考証も担当している。現代の歴史学者としては一番名前が知れている人かもしれない。テレビで見かける巧みな比喩を用いたわかりやすい解説は著書でもそのままで、歴史書としては無類の読…

『殿、利息でござる!』は何が本当にすごいのか(感想)

磯田道史氏のファンなら、彼がどこに出演しているのか探してみるのも楽しい。 殿、利息でござる! [DVD] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2016/10/05 メディア: DVD この商品を含むブログ (10件) を見る 殿、利息でござる! [Blu-ray] 出版社/メーカー: 松竹 発…

新元号の公表日が2019年4月1日なのは「二重権威」を避けるため?

this.kiji.is なぜ、もっと早く新元号を公開してはいけないのか……という疑問はどうしても出てくるのですが、5月17日の朝日新聞の記事にはこう書かれています。 www.asahi.com 政府は当初、改元の準備期間を長くとるため今夏ごろの公表を検討。しかし、新元号…

チンギス・カンは「鉄の申し子」だった──白石典之『チンギス・カン "蒼き狼"の実像』

チンギス・カン―“蒼き狼”の実像 (中公新書) posted with カエレバ 白石 典之 中央公論新社 2006-01 Amazon 楽天市場 Yahooショッピング シヴィライゼーションをプレイした人なら誰でも理解できるのは、資源の重要性だ。プレイ初期に銅や鉄などの重要資源を確…

始皇帝研究の最前線に触れられる。『キングダム』愛読者にもおすすめの『人間・始皇帝』

人間・始皇帝 (岩波新書) 作者: 鶴間和幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る 講談社の中国の歴史シリーズの『ファーストエンペラーの遺産』の著者でもある鶴間和幸氏が始皇帝についての最新…

歴史小説のおすすめ本を20作選んでみる(戦国時代編)

戦国時代という素材は小説ではすでに書きつくされているような印象もありますが、探せばまだまだ面白い作品が見つかるものです。ここでは戦国時代を扱った小説本でおすすめの作品を15作選んでみました。 1.国盗り物語 国盗り物語1~4巻完結セット 発売日: 1…

不法移民のリアルを余すところなく描き出す渾身のルポ『ルポ不法移民 アメリカ国境を超えた男たち』

ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち (岩波新書) 作者: 田中研之輔 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/11/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る これは読み進めるのがしんどい。だが一番辛いのは、本書に登場する不法移民たち…

和田竜『忍びの国』感想:忍者の本質とは何か?

忍びの国 (新潮文庫) 作者: 和田竜 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/02/26 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (43件) を見る 本作で『のぼうの城』の和田竜が描き出す忍者の世界は、とかく世知辛い。 同じ伊賀の中ですら平…

キング牧師の「道徳的柔術」がアメリカを変えた──黒崎真『マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士』

マーティン・ルーサー・キングという人の一般的なイメージは「演説家」だろう。もちろんそれは正しい。キング牧師が演説家として卓越した能力をもっていたことは事実だ。ただ、差別解消のための手段として見るなら、演説は正しい戦術と組み合わせることでは…

佐藤賢一『小説フランス革命』が描き出す「男らしさ」コンプレックス

日本人の多くはフランス革命を知らない。それは結局のところ、フランス革命を扱った小説が少ないからだ──と誰かが語っていたことを覚えている。多くの人は歴史書を読んで日本史を学ぶのではなく、大河ドラマや司馬遼太郎から学ぶ。ならフランス革命も誰かが…

シャルル禿頭王、カール肥満王……なぜ中世ヨーロッパにはあだ名が多いのか?を解き明かした『あだ名で読む中世史』

中世ヨーロッパは「あだ名文化」の時代だった あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる 作者: 岡地稔 出版社/メーカー: 八坂書房 発売日: 2018/01/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 中世ヨーロッパとは、「あだ…