明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

直木賞候補作家・上田早夕里の『夢みる葦笛』はSF初心者にもおすすめできる短編集

夢みる葦笛 作者: 上田早夕里 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2016/09/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 上田早夕里『破滅の王』が第159回直木賞の候補に選ばれた。こちらは歴史小説だが、最近SFが読みたい気分だったので同じ作者の…

北方謙三『チンギス紀』はモンゴル考古学者・白石典之の研究を参考にしている?

チンギス紀 一 火眼 作者: 北方謙三 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 『水滸伝』から『楊令伝』を経て『岳飛伝』に至る壮大なサーガを語り終えた北方謙三が次に挑むのがチンギス・カンの生…

中公文庫『日本の歴史』の面白い巻をおすすめしてみる

古いながらもいまだに多くの人に愛読されている中公文庫『日本の歴史』シリーズ。日本史の入門書として紹介されることも多いし、実際に内容は充実しているのだが、この詳しさが逆にこれから手に取る人をたじろがせる原因になるかもしれない。もっと簡潔な日…

シリーズ日本古代史5『平安京遷都』に見る武士の起源

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書) 作者: 川尻秋生 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (13件) を見る 平安時代は今ひとつ日本人にとってなじみがない。時代区分で…

日本史のおすすめ本を20冊紹介してみる

手元の概説書や新書、読みやすい専門書などの中から面白く読める日本史のおすすめ本を選んでみました。受験に役立つ内容ではありませんが、面白いだけでなく何かしら得るところのあるものを選んでいます。今後の読書の参考までにご覧ください。 中公文庫 日…

青木崇高の演じる島津久光と後藤象二郎のコンプレックス

先回の西郷どん「偉大な兄 地ごろな弟」で青木崇高が演じた島津久光は、斉彬に対して強いコンプレックスを抱いているらしい。その証拠に、国父様は薩摩を出たことがない、松平春嶽などとの人脈もないと言って率兵上京を止めようとする西郷に対し、顔をひきつ…

知恵泉の山本博文さんが橋爪大三郎・大澤真幸さんの『げんきな日本論』に突っ込んでいる件

山本博文さんの名前を知らない方も、NHKの番組「知恵泉」に出演している歴史の先生といえば顔が思い浮かぶ方もいるかもしれません。 歴史の勉強法 確かな教養を手に入れる (PHP新書) 作者: 山本博文 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2017/11/16 メディア…

磯田道史『江戸の備忘録』には磯田史学のエッセンスが詰まっている

江戸の備忘録 (文春文庫) 作者: 磯田道史 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/11/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る よく「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」などと言われる。 『江戸の備忘録』は磯田道史の処女作ではな…