明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【感想】藤沢周平『蝉しぐれ』が時代小説の最高傑作である理由

蝉しぐれ (文春文庫) 作者: 藤沢周平 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2012/09/20 メディア: Kindle版 購入: 2人 クリック: 2回 この商品を含むブログを見る なんという完璧な小説だろう。藤沢周平作品にどれもはずれはないが、その中でもこれは最高傑作…

瀧本哲史『武器としての交渉思考』と人間関係における「コモディティ人材」について

武器としての交渉思考 (星海社新書) 作者: 瀧本哲史 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/06/26 メディア: 新書 購入: 3人 クリック: 64回 この商品を含むブログ (52件) を見る 瀧本哲史の『武器としての交渉思考』には、労使交渉において「コモディティ人…

【書評】北條芳隆(編)『考古学講義』

考古学講義 (ちくま新書) 作者: 北條芳隆 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/05/07 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る ちくま新書の歴史講義シリーズのなかの一冊。 先史時代から古墳時代までをカバーする14のトピックはどれも興味深いものば…

『鴻上尚史のほがらか人生相談』に学ぶ、人の悩みを聞く極意

鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋 作者: 鴻上尚史 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2019/09/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ネットで大評判の人生相談が書籍化 AERA.dotでの連載を読んでいた人ならわ…

縄文文化は『文明』ではない──山田康弘(監修)『縄文時代の不思議と謎』

縄文時代の不思議と謎 (じっぴコンパクト新書) 作者: 山田康弘 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2019/01/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る もう20年以上前のことになるが、三内丸山遺跡を見に行った時の衝撃はいまだに忘れられない。300…

岩波新書からシリーズ中国史が全5巻で刊行開始

11月からシリーズ中国史が刊行開始です。第1巻『中華の成立 唐代まで』渡辺信一郎第2巻『江南の発展 南宋まで』丸橋充拓第3巻『草原の制覇 大モンゴルまで』古松崇志第4巻『陸海の交錯 明朝の興亡』檀上寛第5巻『「中国」の形成 現代への展望』岡本隆司※時代…

【感想】澤村伊智短編集『ひとんち』で知る、ホラーにおける小説の強み

ひとんち 澤村伊智短編集 作者: 澤村伊智 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2019/02/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『ぼぎわんが、来る』で有名な澤村伊智のホラー短編集。8つの作品はどれも味わいが違っててそれぞれに楽しめるが、やはり…

【感想】『図書館の大魔術師』3巻における「知性の多様性」

図書館の大魔術師(3) (アフタヌーンKC) 作者: 泉光 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/08/07 メディア: コミック この商品を含むブログを見る いよいよ司書試験が始まった。第一次の筆記試験は2巻の終盤からすでに始まっているが、この試験は3日間個室に…

『氷と炎の歌』(ゲームオブスローンズ原作)を読んで考えた「小説の強み」

『氷と炎の歌』を先に読んでいると感じる違和感 最近、アマゾンプライムでゲームオブスローンズを観ている。 いまさら言うまでもなく、これは極めてすぐれた映像作品だし、これに多くの人が熱中しているのもよくわかる。 だが、原作小説『氷と炎の歌』シリー…

【感想】『図書館の大魔術師』2巻に見る「知識の使い方」

図書館の大魔術師(2) (アフタヌーンコミックス) 作者: 泉光 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/11/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る saavedra.hatenablog.com 本が与えてくれるものとは何か 1巻かけてようやく真の主人公となったシ…