明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

心理

確証バイアスが「日本人は集団主義的」という文化ステレオタイプを生んだ──高野陽太郎『日本人論の危険なあやまち ―文化ステレオタイプの誘惑と罠―』

www.u-tokyo.ac.jp 「日本人は集団主義的である」という通説は間違っている、という記事が一部で反響を呼んでいた。この記事の参考文献としてあげられている高野陽太郎氏の『「集団主義」という錯覚 ― 日本人論の思い違いとその由来』は、2008年に刊行されて…

ネット炎上の激化は社会比較説・沈黙の螺旋・集団的浅慮などが原因

眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学 日本文芸社 Amazon kndle unlimitedで『眠れなくなるほど面白い図解社会心理学』を読んでいたら、ネット炎上が激化する原因を解説している箇所があった。この本の28ページでは、ネット炎上が加速する原因として「社…

性善説と性悪説、どっちで生きるのが得?下園公太『寛容力のコツ──ささいなことで怒らない、ちょっとしたことで傷つかない』

寛容力のコツ―――ささいなことで怒らない、ちょっとしたことで傷つかない (知的生きかた文庫) 作者:下園 壮太 三笠書房 Amazon 萱野稔人『名著ではじめる哲学入門』によると、20世紀以降の哲学では性善説的な考えが優勢になっているそうだ。ヒューマニズムが…

幸せになる方法は科学的に解明されつつある──『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』

「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室 (中経出版) 作者:NHK「幸福学」白熱教室制作班,エリザベス・ダン,ロバート・ビスワス=ディーナー KADOKAWA Amazon 幸せとは何か。どうすれば幸せになれるのか。これは古来、宗教や哲…

kindle unlimitedのおかげでネットから受けるストレスが激減した

「2ヶ月299円」のセール価格につられてkindle unlimitedをはじめて20日が経った。気づいたらネットから受けるストレスが激減していた。いろいろな電子書籍を読みあさっているうちに、ネット上の不快な情報に接することがほぼなくなったせいだ。以前は暇があ…

【感想】「理解のある彼くん」が出てこないから安心?『迷走戦士・永田カビ』(kindle unlimited探訪2冊目)

迷走戦士・永田カビ (webアクションコミックス) 作者:永田カビ 双葉社 Amazon 永田カビ作品にはある種の安心感がある。それまでさんざん人に受け入れられないつらさ、うまく世の中に適応できない苦しさを描いていたのに、どこからか突然その苦しさをすべて受…

落ちこんだときはどんな本を読めばいい?寺田真理子『心と体がラクになる読書セラピー』

心と体がラクになる読書セラピー 作者:寺田 真理子 発売日: 2021/04/23 メディア: 単行本(ソフトカバー) 古代ギリシャのテーバイの図書館のドアには「魂の癒しの場所」と書かれていたという。読書にセラピー効果があることは、古代人もよく理解していた。…

【感想】「うつヌケも運のうち」なのか?田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち 【電子書籍限定 フルカラーバージョン】 (角川書店単行本) 作者:田中 圭一 発売日: 2017/01/19 メディア: Kindle版 サンデルの新刊『実力も運のうち 能力主義は正義か?』が話題だ。一見実力で勝ちとったようにみえる社…

ブログに「本当の感想」をもらうことの難しさ

togetter.com もうとっくにこの話題の旬は過ぎてしまっているが、改めて上記のまとめを読み返し、いろいろと思うことがあったのでここに書いておく。 作家もそうだが、何かしら創作をしている人は、単に創りたいものがが創れればそれで満足、という人ばかり…

森山至貴『10代から知っておきたいあなたを閉じ込める「ずるい言葉」』に見る「社会学者が嫌われる理由」

10代から知っておきたい あなたを閉じ込める「ずるい言葉」 作者:森山 至貴 発売日: 2020/08/18 メディア: Kindle版 togetter.com この本は少し前に「裏表紙がクソリプ大集合みたいな本」としてツイッターで話題になった。「あなたのためを思って言っている…

糸井重里氏のツイートと「他人は変えられないから自分を変えよ」という自己啓発的メッセージの限界

先日、糸井重里氏のこんなツイートが話題になっていた。 わかったことがある。新型コロナウイルスのことばかり聞いているのがつらいのではなかった。ずっと、誰ががが誰かを責め立てている。これを感じるのがつらいのだ。 — 糸井 重里 (@itoi_shigesato) 202…

カーネギー『人を動かす』が語るリンカーンの煽りスキルの凄さ

人を動かす 文庫版 作者:D・カーネギー 発売日: 2016/01/26 メディア: 単行本 若き日のリンカーンは煽りの達人だった D・カーネギー『人を動かす』はタイトル通り、人を説得するノウハウの書かれた実用書だ。だがこの本は読み物としてもなかなかおもしろい。…

太古の昔、ブログは「文学」だった。

p-shirokuma.hatenadiary.com amamako.hateblo.jp 今日はこちらのエントリを読んで思ったことなどを。 ブログに商業化の波がやってくる前、この世界はただリアルには出せない、自分の思いのたけをぶつけるだけの場所だったように記憶している。もちろん観測…

【感想】鴻上尚史『「空気」を読んでも従わない』と小声で歌う"This is me"

「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書) 作者:鴻上 尚史 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/04/20 メディア: 新書 先日、ユーチューブで『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌"This is me"の動画を観ていた。なんど…

【感想】鴻上尚史『孤独と不安のレッスン』に「ほがらか人生相談」の原点を見た

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫) 作者: 鴻上尚史 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2011/02/09 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (13件) を見る この本を読んでいて、ファストフード店で一人で食事している男性を撮影し、…

瀧本哲史『武器としての交渉思考』と人間関係における「コモディティ人材」について

武器としての交渉思考 (星海社新書) 作者: 瀧本哲史 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/06/26 メディア: 新書 購入: 3人 クリック: 64回 この商品を含むブログ (52件) を見る 瀧本哲史の『武器としての交渉思考』には、労使交渉において「コモディティ人…

『鴻上尚史のほがらか人生相談』に学ぶ、人の悩みを聞く極意

鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋 作者: 鴻上尚史 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2019/09/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ネットで大評判の人生相談が書籍化 AERA.dotでの連載を読んでいた人ならわ…

『昭和史の10大事件』と宮部みゆきの見た宮崎勤事件

昭和史の10大事件 作者: 半藤一利,宮部みゆき 出版社/メーカー: 東京書籍 発売日: 2015/08/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 半藤一利と宮部みゆきが、昭和金融恐慌や2・26事件、東京裁判や金閣寺消失など、昭和史の「10大事件」につ…

マクベスとマクベス夫人と「男らしさ」の枷

かつてある大物政治家を暗殺しそこねた右翼青年が「男になりたかった」と漏らしていた記憶がある。男はただ生きているだけでは「男」になれない、「男らしい」何かをなさなくてはならないのだ──こういう価値観は古びてきてはいるものの、それでもなお残ると…

ドラクエ11で子供のころの記憶が書き換わった

【3DS】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス 発売日: 2017/07/29 メディア: Video Game この商品を含むブログ (60件) を見る 70時間弱かけてドラゴンクエスト11の真エンドに到達しました。 作品単体で見ても完…

モテ男の弾除けに使われていた経験談と「人間関係の等価交換理論」

anond.hatelabo.jp 悲しいけど、これって現実なのよね……と言いたくなってしまうのは、実は私も似たような経験をしているからでして。 似ている、と言っても私の場合はすごくモテる男友達に、しつこく言い寄ってくる女性の弾除けとして使われた、ということな…

槙田雄司『一億総ツッコミ時代』と「超メタ人間」李徴の悲劇

一億総ツッコミ時代 (星海社新書) 作者: 槙田雄司 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/09/26 メディア: 新書 購入: 4人 クリック: 64回 この商品を含むブログ (31件) を見る 決定版 一億総ツッコミ時代 (講談社文庫) 作者: マキタスポーツ 出版社/メーカ…

感想をもらっても返さない側の言い分

anond.hatelabo.jp 私はまったく無名の人間だけれど、ウェブで小説めいたものを何年も書いていれば感想ももらうことはあるし、時にはほめてもらえることもある。でも、私はほめてくれた人が作者の場合、こちらもお礼に読みに行ってほめなければ、とは思わな…

独身40代からの孤独と地下アイドルと「中年純情物語」

anond.hatelabo.jp qtamaki.hatenablog.com このふたつのエントリを読んでいて、自分は「ザ・ノンフィクション」という番組の「中年純情物語」の回を思い出した。番組のくわしい内容はこちらのエントリで書かれている通り。 movieotaku.hatenablog.com この…

村上春樹『職業としての小説家』を読んで考えた、創作で病む人・病まない人の違い

職業としての小説家 (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/09/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (17件) を見る 村上春樹の文章には、ある際立った特徴がある。それはとにかく読みやすいということだ。これは小説でもエッ…

永田カビ『一人交換日記』最終回に思ったこと

comic.pixiv.net pixivコミックで連載されていた永田カビさんの『一人交換日記』が11月に最終回を迎えていた。 この最終回は一応ハッピーエンド……なのかな。 読む人によっていろいろと思うところがあるだろうけど、家族との関係が良くなったのならそれはやは…

「精神の自給率」が高い人が最強という話

スポンサーリンク // 「精神の自給率」が高い人が一番幸せ ウェブで小説などをやっていると、次第に周りではプロになる人というのが出てきます。 なんらかのコンテストで受賞したり、そうでなくとも編集の人の目にとまり、投稿サイトにアップしていた小説が…

「豆腐メンタル」でも文章を書き続けるには、どうすればいいのか?

ウェブで文章を書くなら批判は避けられない ウェブで小説などを書いていると、時にはあまり聞きたくない言葉を浴びせられることがあります。オチの意味が分からないだとか、こんなものを書くなんて痛々しいにも程があるだとか、挙げ句の果てにはこういう小説…

ローグライク的価値観を持つと、人は何度でも挑戦できる

store.steampowered.com 最近、片道勇者でずっと遊んでいる。こういうローグライクというのは面白い。明確なストーリーはないが、アイテムや町、モンスターの配置などはランダムで決まるので何度プレイしても違う展開が楽しめるし、ジョブの種類も多いので攻…

「ガチ恋おじさんの黄昏」を読み、「優しさ格差」について考えた。

noteの有料記事ですが、先日こういう文章を読みました。 note.mu 「ガチ恋」という言葉は最近知ったんですが、これは「アイドルに対して真剣な恋愛感情を抱き、それをモチベーションにしてアイドルのイベントに参加する行為、またはその人」と記事中では定義…