スカイリムの世界は北欧のような世界がモデルになっていて、ノルドは荒々しい気質の者が多く、戦いを歌いあげる詩人がいるなど、ヴァイキングをモデルにしていると思われるのは周知の通りです。タロス信仰が禁じられるところなど、キリスト教の普及が進んで異教の神々が捨てられる歴史を思い起こさせるものがあります。
The Elder Scrolls V : Skyrim 【CEROレーティング「Z」】
- 出版社/メーカー: ベセスダ・ソフトワークス
- 発売日: 2011/12/08
- メディア: Video Game
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ヴァイキングというのは基本的に普段は農民で、専業の略奪集団があるわけではなく、豪族的な農民が生活の一端として略奪に出かけるというのがヴァイキングの普通の姿だったようです。スカイリムの世界でも農場経営に力を注ぐノルドも出てきますし、ノルドの反乱集団であるストームクロークも兵農分離していなさそうな雰囲気があります。
ですがここで気になるのが帝国軍の兵士です。ソリチュードの城に詰めている兵士は兵舎で寝起きしていますし、帝国から給金の出ている専門の兵士のようです。帝国軍には様々な種族の兵士が存在しますが、ノルド人が帝国兵になっているような事例を史実に求めるとすれば、どんなものがあるか。
- 作者: マッツ・G.ラーション,Mats G. Larsson,荒川明久
- 出版社/メーカー: 国際語学社
- 発売日: 2008/07
- メディア: 単行本
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ビザンツ帝国には、ヴァリャーギというヴァイキングの傭兵部隊が存在しました。ヴァリャーギはビザンツ皇帝直属の精鋭部隊で、「固い誓約」 が語源となっています。ヴァイキングにとってこの精鋭部隊に参加することは非常な名誉であり、給与もかなり高いことで知られていました。ノルウェー王ハーラル苛烈王も一時期このヴァリャーギに所属しています。
ヴァリャーギは強力な部隊で、特に海戦が得意だったためエーゲ海やシチリア、バルカン半島などを舞台に活躍しました。ヴァリャーギの戦う相手は時に同じノルマン人であることもあり、同じノルドでも帝国軍とストームクロークに分かれて戦うこともあったことを思い起こさせます。
スカイリムの世界においては、帝国がタロス信仰を禁じていることが、ビザンツ帝国がキエフ公国にキリスト教を伝えたことを彷彿とさせます(キエフ公国の建国者はヴァイキングだと言われています)。こうしたノルドとの関係性や地理的な問題を考えると、スカイリムの世界における「帝国」はビザンツに近い存在であるように思います。