明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

行動ダイアリーをつけてみたら読書量がかなり増え、日々の充実感もアップした

最近、余暇の時間に何をしても充実感を感じられない日々が続いていた。状況を打開するため、「行動ダイアリー」をつけ始めた。行動ダイアリーとは認知行動療法創始者アーロン・ベックの考案したもので、実践方法は簡単。日々の行動について、1時間ごとに「達成感」「喜び」を10点満点で記録していくだけ。これを続けるだけで、どんな行動をすれば満足できるのかがわかり、無駄な行動を省いて充実度の高い行動を積極的に選んでいくことができるようになる。

何に充実度を感じるか、案外自分でわかっていない

ここ数年、読書傾向が新書や学術書にかなり偏っていた。行動ダイアリーでこれらの本を読む達成感と喜びを評価してみると、それぞれ5点くらいになることがわかった。対して小説を読んだ場合、達成感や喜びは少なくとも7点くらいにはなる。小説は読者を楽しませるものだから当然といえば当然だが、その当然のことが案外わかっていなかったりする。小説がもたらす喜びが大きいことがわかったので、結果として小説の読書量がかなり増え、積んでいた本もかなり減らすことができた。

このダイアリーをつける以前は、「新書は小説と違ってストーリーを全部追わなければいけないわけではないから、読むのが楽」だと思い込んでいた。だが新書には難しいものもあり、苦手なジャンルだと小説より読みにくい。知識を吸収する楽しみがあるといえばあるが、新書は読者をもてなすものではないので、小説より読む喜びが少ない。もっとも、これは読者にもよるだろう。知識を増やすことがストーリーを追うより楽しい人もいるに違いない。いずれにせよ、自分がどんなタイプかは行動ダイアリーをつければはっきりする。

紙の本と電子書籍を読む行為もそれぞれ評価してみた。すると、どちらも喜びは大差ないことがわかった。私は長いこと紙の本派で、電子書籍は手に取って読めないからダメだと思っていたが、実は電子書籍は慣れれば読みやすい。いつのまにか電子書籍も楽しめる身体になっていたようだ。このように、行動ダイアリーで変な先入観を取りのぞくこともできる。

ウォーキングは楽しいか?

ウォーキングは達成感がそこそこ高いが、喜びは歩いた時間によって変わることがわかった。天気がよい日に30分くらい歩くなら喜びは7点くらいになる。雪が降っている日に1時間ほど歩くと達成感は高くなっても、疲れるので喜びは5点くらいに下がってしまう。運動するのは健康のためで楽しむためではないから喜びは重視しなくていいかもしれないが、楽しさの低い行為はやる気にならないので、ここが低くなり過ぎないように時間を調整する必要はあるかもしれない。

ブログを書くのは達成感も喜びも大きい

書く内容にもよるが、ブログを書くのは達成感を味わえるし、案外喜びも得られる。一般的に、受動的に動画を見たり音楽を聴いたりするより、何かをアウトプットするほうが達成感は高くなるようだ。記事を書くことで喜びも得られるのは、考えがまとまっていくのが楽しいからだろうか。とにかく、ブログを書くのは思っていたよりも喜びが得られる行為だとわかったので、今後はもっと積極的に書けるかもしれない。

ブログ記事を書いた時点で達成感も喜びも得られるなら、読まれるかどうかを気にする必要はないことになる。たくさん読まれたらもっと喜びが増えるだろうが、それはおまけみたいなものだと考えればいい。行動ダイアリーにはこういうことに気づけるメリットもある。

ゲームは達成感が少ないが、Slay the Spireだけは別

あくまで自分の場合だが、ゲームは喜びは得られても、達成感はそれほど得られない。ゲームは映画や動画にくらべれば積極的に取り組まなければいけないが、それでもただ遊んでいるだけなので、あまり何かした気になれないのだろう。

 

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だが、カードゲームの名作Slay the Spireだけは別だ。このゲームをプレイするのは達成感も喜びも高い。頭を使った気になっているせいだろうか。いや、事実いろいろと考えてはいるのかもしれないが、それにしたってこれはただの遊びだ。でも、うまくデッキが組めて爽快なコンボを決められたら格別の達成感が味わえる。これはパズルを解いている感覚に近いのかもしれない。だとすれば、同様に頭を使って何かを達成する行為は多くの達成感と喜びをもたらすはずだ。似たようなゲームを買うのもいいかもしれないが、行動ダイアリーをつけたらよけいにゲームばっかり遊ぶようになりました……となるのも何なので、もっと別の生産的な行為がないかを考えたい。

 

読書は能動的行為?

行動ダイアリーをつけてみると、一般的に受動的な趣味では達成感が低くなる。自分の場合、とくにYouTubeの視聴は達成感が低かった。動画は何もしなくても勝手に流れていくからだろう。ドラマやアニメなどでもそれほど達成感は味わえない。一方、読書、特に小説を読んだ場合は達成感もけっこう高くなる。能動的に読まないといけないせいだろうか。同じストーリーを楽しむものでも、個人的にはマンガより小説のほうが達成感が高いが、これは小説のほうが読むのに時間がかかり、「やりきった感」があるせいかもしれない。やはりある程度はハードルの高い行動のほうが、達成感は得られやすいようだ。

このように行動をいちいち点数で評価してみると、ハードルの高い行為でも手をつけやすくなる。楽しみが得られることがわかっているからだ。逆に、なんとなくやっているが喜びが少ない行為も減らせる。YouTubeの視聴は喜びが少ないのになんとなくやってしまっていたが、これは始めるハードルが低すぎるせいだ。だが大して楽しくないことをあらかじめ知っていれば、もっと喜びの多い行動に変えることもできる。この記事も、ブログを書くことで得られる達成感や喜びが大きいことがわかったから書けているところがある。一度行動ダイアリーをつけ始めると、行動を評価するためにいろいろなことをしたくなるので、なんとなく日々にマンネリを感じている方は一度試してみてもいいかもしれない。