明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

小説

和田竜『忍びの国』感想:忍者の本質とは何か?

忍びの国 (新潮文庫) 作者: 和田竜 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/02/26 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (43件) を見る 本作で『のぼうの城』の和田竜が描き出す忍者の世界は、とかく世知辛い。 同じ伊賀の中ですら平…

佐藤賢一『小説フランス革命』が描き出す「男らしさ」コンプレックス

日本人の多くはフランス革命を知らない。それは結局のところ、フランス革命を扱った小説が少ないからだ──と誰かが語っていたことを覚えている。多くの人は歴史書を読んで日本史を学ぶのではなく、大河ドラマや司馬遼太郎から学ぶ。ならフランス革命も誰かが…

似鳥鶏『きみのために青く光る』と銃社会

必要は発明の母というが、実は逆で、発明は必要の母ではないかと思うことがある。 つまり、ある便利な技術が開発されることで、ついその技術を人は使ってしまい、使っているうちにそれが必要不可欠ななものだと錯覚するのではないかということだ。 異能を授…

読者を新たなクトゥルフ沼に誘う一冊──『邪神任侠 家出JCを一晩泊めたら俺の正気度がガリガリ削れた』

世の中にはたくさんの「沼」がある。 鉄道やミリタリー、歴史、哲学、廃墟やSFなどなど、一度はまり込んだら抜け出せないジャンルは枚挙にいとまがない。 そして、中でもとりわけ深い沼のひとつにクトゥルフ神話がある。 それだけに、クトゥルフを題材とした…

カクヨムの新連載小説「ムルムクス」が怖すぎて続きが気になりすぎる件

読みだしたら止まらない小説というものがある。 いつも歴史とファンタジー小説しか読まない自分が、まさかホラーにここまではまるとは思わなかった。 これは一度読んだが最後、続きが気になり、次回の更新を渇望してしまうようになるだろう。文字通り巻を措…