明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

伊東潤『敗者烈伝』における明智光秀の評価

敗者烈伝 (実業之日本社文庫) 作者:伊東 潤 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2019/10/04 メディア: 文庫 「汁二杯」のエピソードのせいでどうしても良いイメージを持たれない北条氏政だが、この本においては意外と評価が高い。上杉謙信との間に結ばれ…

【感想】鴻上尚史『「空気」を読んでも従わない』と小声で歌う"This is me"

「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書) 作者:鴻上 尚史 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/04/20 メディア: 新書 先日、ユーチューブで『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌"This is me"の動画を観ていた。なんど…

【感想】テッド・チャン『息吹』をSFに苦手意識のある私が読んでみた結果

息吹 作者:テッド・チャン 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/12/04 メディア: 単行本 テッド・チャン『息吹』は発売直後から絶賛されているが、私みたいにSFが得意とはいえない読者にもちゃんと読めるのだろうか?と気になっていた。海外SFを読んでい…

【感想】十二国記『白銀の墟 玄の月』3~4巻と「正史の隙間」の物語

白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫) 作者:小野 不由美 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/11/09 メディア: 文庫 『白銀の墟 玄の月』1~2巻は、戴国がどれだけ悲惨かを書くことにほぼ費やされた。この2巻は、読者の忍耐力が試される巻だった。…

山川出版社 歴史の転換期1『B.C.220 帝国と世界史の誕生』に見るローマ帝国のブリテン島支配の実態

B.C.220年 帝国と世界史の誕生 (歴史の転換期) 作者:藤井 崇,宮嵜 麻子,宮宅 潔 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2018/04/28 メディア: 単行本 2018年以降、山川出版社から順次刊行されている歴史の転換期シリーズの1巻。最初の巻となる『B.C.220 帝国…

【感想】本郷和人『乱と変の日本史』

乱と変の日本史 (祥伝社新書) 作者:本郷 和人 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2019/03/01 メディア: 新書 平将門から島原の乱にいたるまで多くの「乱」と「変」を扱った内容になっているが、序の「乱と変から何がわかるか」を読むと、意外なことに「乱」と…

【感想】テンプル騎士団を知りたいならまずはこの本。佐藤賢一『テンプル騎士団』

テンプル騎士団 (集英社新書) 作者:佐藤 賢一 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/07/13 メディア: 新書 アサシンクリードでは悪役側で、とかく怪しげなイメージを持たれがちなテンプル騎士団だが、その実態はどんなものだったか?それを知りたいなら、ま…

【感想】金成隆一『ルポトランプ王国2 ラストベルト再訪』と南部白人の「ディープ・ストーリー」

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書) 作者:金成 隆一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/09/21 メディア: 新書 前作に引き続き、大変読みごたえのあるルポだった。著者はラストベルトと郊外、バイブルベルトの3カ所を訪ね歩き多くのトラ…

【感想】吉川弘文館東北の中世史5『東北近世の胎動』

東北近世の胎動 (東北の中世史) 作者: 出版社/メーカー: 吉川弘文館 発売日: 2016/02/19 メディア: 単行本 吉川弘文館から刊行されている『東北の中世史』の最終巻だが、これは東北の城郭や伊達氏の統治に関心のある方にはぜひ読んでもらいたい。というのも…