明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【感想】高橋源一郎『一億三千万人のための「論語」教室』の訳が自由過ぎる件

一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書) 作者:高橋源一郎 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/10/26 メディア: 単行本 高橋源一郎さんによる『論語』の全訳なんですが、この訳はまぁ、なんというか……かなりぶっ飛んでますね。高橋さんはこれ…

「小説にだけあってマンガや映画やアニメにはない魅力」を示せる人ってなかなかいないよね、という話

小説と同じメリットが漫画にもアニメにもある 小説は君のためにある (ちくまプリマー新書) 作者:藤谷 治 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/09/06 メディア: 新書 藤谷治さんの『小説は君のためにある』を読みました。 若い読者に向けて、小説の魅力を…

麒麟がくる2話「道三の罠」感想:織田信秀の経済力描写の細かさについて

今回は合戦の描写にかなり力が入っていた。 斎藤軍四千vs織田軍二万と数字上は織田軍が大きく上回っているが、斎藤道三は織田軍の大部分が金で集めた兵であることを知っているので少しも動じることがない。 今回、ドラマの冒頭で道三は孫子の一節をわざわざ…

ジャンル分け不能の怪作『絶対小説(講談社リデビュー賞受賞作)』が小説愛にあふれすぎていて最高だったので感想を書く

絶対小説 (講談社タイガ) 作者:芹沢 政信 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2020/01/22 メディア: 文庫 この小説を何と呼べばいいのだろう。 河童のような人間が出てくるから伝奇か。 いや、謎の肉食植物や四脚駆動のメカが登場するからSFか。 作品全体に漂…

【書評】岩波新書シリーズ中国の歴史1『中華の成立 唐代まで』

中華の成立: 唐代まで (岩波新書) 作者:渡辺 信一郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/11/21 メディア: 新書 これは概説書としてみればかなり硬い部類になる。初学者がいきなり読めるものではない。物語性を求める読者にはまったく向いていないが、学…

麒麟がくる1話『光秀、西へ』感想

【1/19 HP更新のお知らせ】初回放送を終えて長谷川博己インタビュー 公開#麒麟がくる #明智光秀https://t.co/nMfnCDlcqK — 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」初回1月19日(日)放送@NHK (@nhk_kirin) 2020年1月19日 この光秀は旅の途上、荒廃した室町後期…

士農工商も赤穂浪士も教科書から消えていく『ここまで変わった日本史教科書』

ここまで変わった日本史教科書 作者:高橋 秀樹,三谷 芳幸,村瀬 信一 出版社/メーカー: 吉川弘文館 発売日: 2016/08/25 メディア: 単行本 これを読んでいると、かつて学んだ「日本史」の内容も少しづつ変わってきていることがわかる。今は「鎖国」という言葉…

【感想】情熱だけでは勝てなくなったときどの見つけた勝利法『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0 』

世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0 作者:ときど 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2019/12/05 メディア: 単行本(ソフトカバー) 東大卒プロゲーマー・ときどの勝利法は、もともとは東大入試攻略法と似たようなものだった。格闘ゲームの新タ…

奴隷狩り・人身売買・略奪……戦国時代の「民衆のリアル」を活写する『雑兵たちの戦場』

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777)) 作者:藤木 久志 出版社/メーカー: 朝日新聞社 発売日: 2005/06/10 メディア: 単行本 ルイス・フロイスは『ヨーロッパ文化と日本文化』において「われらにおいては、土地や都市や村落、および…

信長研究者は本能寺の変の原因を何だと考えているのか?『本能寺の変サミット2020』内容まとめ

先日、NHKBSで放映された『本能寺の変サミット2020』の内容をこちらにまとめておきます。参加したパネリストは天野忠幸,石川美咲,稲葉継陽,柴裕之,高木叙子,福島克彦,藤田達生の7氏。 この日、本能寺の変の原因として検討されていたのは怨恨説・朝廷or…

蝦夷の領域に築かれた最北端の古代城柵・秋田城を訪ねる

秋田市の秋田城跡と資料館を訪ねてきた。写真は昨年10月に撮ったもの。 秋田城の歴史は古く、733年に出羽柵が建設され、760年に秋田城と改称されている。 ここには復元された秋田城の城壁含め、当時の政庁そのものが公園の中に含まれている。 秋田城は軍事施…