明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹『職業としての小説家』を読んで考えた、創作で病む人・病まない人の違い

職業としての小説家 (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/09/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (17件) を見る 村上春樹の文章には、ある際立った特徴がある。それはとにかく読みやすいということだ。これは小説でもエッ…

BSプレミアム「風雲!大歴史実験」の一ノ谷の戦いに関するメモ

義経と言えば鵯越えの逆落とし。というわけで、昨日の風雲!大歴史実験では、ほんとうにこの「逆落とし」が実現可能なのか、という実験を行っていた。 実験に使ったのは在来馬の木曽馬。見た感じでは足が短く小柄だが、その分安定感もあるようだった。騎手が…

半藤一利『昭和史 1926-1945』と近衛文麿の評価について

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー) 作者: 半藤一利 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2009/06/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 11人 クリック: 125回 この商品を含むブログ (107件) を見る 語りおろしなので読みやすいが、それでも読み終え…

松沢裕作『自由民権運動』が描き出す自由民権運動のカオスな実態

自由民権運動――〈デモクラシー〉の夢と挫折 (岩波新書) 作者: 松沢裕作 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/06/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る これは大変面白い本だった。字面だけを見れば民主主義を日本に根付かせるための運動…

万人敵・震天雷・流星錘……バラエティ豊かな中国史上の兵器を網羅した『Truth in FantasyⅧ 武器と防具 中国編』

武器と防具〈中国編〉 (Truth In Fantasy) 作者: 篠田耕一 出版社/メーカー: 新紀元社 発売日: 1992/05/01 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (4件) を見る 表意文字である漢字の強みは、字面だけで雰囲気を出せることだ。中国…

大英帝国の中でハイランダーはどう生きたか──井野瀬久実恵『大英帝国という経験』

興亡の世界史 大英帝国という経験 (講談社学術文庫) 作者: 井野瀬久美惠 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/12/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る これは興亡の世界シリーズの中でも注目されるべき一冊であるように思う。というのは、本書で…

観応の擾乱に災害が及ぼした影響とは?亀田俊和『観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』を読んで

観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書) 作者: 亀田俊和 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/07/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (10件) を見る あとがきに書いているように、著者の亀田俊和氏は天邪鬼な…

阿部正弘という人物をどう評価するか?半藤一利・出口治明『明治維新とは何だったのか』

明治維新とは何だったのか 世界史から考える 作者: 半藤一利,出口治明 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2018/04/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 幕末史や昭和史に関する著書を多数発表している半藤一利氏と世界史の著作の多い出口治明氏の…