明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2017-01-01から1年間の記事一覧

醜い者は分相応に生きよ──福田恆存『私の幸福論』

私の幸福論 (ちくま文庫) 作者: 福田恒存 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1998/09/01 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (70件) を見る 女はとかく外見を品評される。今は男だってそうかもしれない。大事なのは人格だと言…

個性的であれという呪縛が人を苦しめる──南直哉『なぜこんなに生きにくいのか』

なぜこんなに生きにくいのか (新潮文庫) 作者: 南直哉 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/09/28 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (7件) を見る ある時期から、どうもブログの世界が居心地が悪い、と感じるようになった。 …

その昔、「100の質問」が苦手だった

先日、ツイッターのTLを「物書きさんに20の質問」と書かれたツイートが流れていくのを目にした。ずいぶん懐かしいものを見せられたような気がしたのと同時に、当時感じていたある種の苦さのようなものも思い出した。 意味がわからない人のために説明すると、…

エマ・ワトソンのスピーチに関する雑感

logmi.jp togetter.com anond.hatelabo.jp 今日は以上の記事を読んで思ったことを記しておこうと思う。 世の中には、総論賛成各論反対、みたいなことが多い。どこの記事だったか忘れたが、「男性も無理せず弱みを見せられるようになればいい。無理に男らしさ…

『王様でたどるイギリス史』

スポンサーリンク // 王様でたどるイギリス史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2017-02-22 『パスタでたどるイタリア史』は面白い本だったが、それに比べるとこれはかなり個性は控えめな印象。パスタやお菓子など、あまり普通の…

「挫折した貴方は魅力的ですよ」とあの人は言った。

kakuyomu.jp 第二回カクヨムウェブ小説コンテストの結果は、周囲に大きな波紋を投げかけた。 僕の知人でも大賞を受賞した人もいるし、結果に落胆して筆を折ると言い出した人や、もうウェブでは戦えないので公募に切り替える、と宣言する人も見た。 自分自身…

新海誠氏の不倫報道を見て、人格と作品の関係性について考えた

スポサーリンク // // 今朝、新海誠氏の不倫報道が流れていたことを知った。新海氏はそのような事実はない、とこれを否定している。 headlines.yahoo.co.jp 僕の交際関係を報じる記事が出たとのこと。記事中にある食事等は事実ですが、交際の事実は一切あり…

『嫌われる勇気』に対する真摯な批判

『嫌われる勇気』の最大の問題点は何か 先日、宇樹義子さんによるこちらのエントリを読んだ。 decinormal.com このエントリでは、『嫌われる勇気』によって有名になったアドラー心理学のデメリットについて簡潔かつ丁寧に解説されている。このブログでも以前…

平井堅『ノンフィクション』を聴いた

スポンサーリンク // // 優しいというのはこういうことではないか、と思った。 平井堅という人は僕の中ではラブソングの人、というくらいの雑なイメージしかなかったが、この曲でそのイメージは大いに修正された。自ら命を絶った友人のために作った曲らしい…

高橋祐一『緋色の玉座』感想:スニーカー文庫で読める東ローマの歴史小説

スポンサーリンク // 緋色の玉座 (角川スニーカー文庫) posted with カエレバ 高橋 祐一 KADOKAWA 2017-05-01 こういう作品がスニーカー文庫から出るというのがまず驚き。 東ゴートやヴァンダル、ササン朝の地図が見られるラノベはなかなかない。 表紙を飾る…

おんな城主直虎14回『徳政令の行方』感想:ここまで内政を丁寧に描く作品は他にはない。

スポンサーリンク // 先週はノロウイルスで倒れていて感想が書けませんでしたが、このドラマは毎回挑戦的なことをやっていて大変素晴らしいと思っています。今回は前回に引き続き徳政令の話でしたが、方久に年貢を納めることになった村人が不満をつのらせて…

おんな城主直虎12回感想:高橋一生の演技力が凄味を増す一方

スポンサーリンク // 最近このドラマの評価が自分の中でどんどん上がっていますが、今回も緊迫感に満ちた良い回だったと思います。やはり特筆すべきは高橋一生の演技力。表情が完全に吹越満と同じになっている辺りに凄味を感じます。結局政次は父の予言通り…

おんな城主直虎11回「さらば愛しき人よ」感想:また一人見送らなくてはならない

スポンサーリンク // 瀬名を助けに来たのは家康の家臣、石川数正でした。瀬名は一命をとりとめ、竹千代も助かりましたがこの後今川家での陰謀が動き出します。家臣が次々と離反することに悩む氏真に向かって「事が起きる前に握り潰せ」と言う寿桂尼。この後…

おんな城主直虎の視聴率の推移について

スポンサーリンク // saavedra.hatenablog.com おんな城主直虎の10話については、当ブログでは非常に高く評価しているのですが、残念ながら視聴率という点では苦戦しています。前回の視聴率は12.5%と、前々回の14.0%をさらに下回ってしまいました。 headli…

おんな城主直虎10話「走れ竜宮小僧」感想:井伊家の内情を丁寧に描いた内容に好感。今後に期待大

スポンサーリンク // 前回は奥山のキレ方など今ひとつよくわからない点が多かったんですが、今回はかなり良い内容だったと思います。非常に見応えがありました。 直親の政治的判断 結局奥山を斬り死なせてしまった政次。しのは政次の厳しい処分を求めるが、…

けものフレンズ9話感想:少しづつ増えてくる情報にますます目が離せない

スポンサーリンク // ゆきやまちほーの新フレンズはキタキツネとギンギツネ、そしてカピバラ。今回はすごく情報量が多くて、とても全部は書ききれない。カピバラといえば温泉、というわけで今回は温泉回。 サーバルはサバンナの生き物なので寒さには弱いが、…

1年間のカクヨムでの活動を振り返ってみる。小説家になろうとの比較など

カクヨムが3月1日でサイトオープン1周年を迎えた。 割と大きな期待を背負って始まったサイトだと思うが、曲がりなりにも自分もここで1年間活動してきたので、過去を振り返りつつカクヨムについて思うところなどをまとめてみたいと思う。 カクヨムはウェ…

英雄たちの選択 坂上田村麻呂についてのメモ

もう3回位放映されているが、興味深い内容だったのでメモ。 田村麻呂の選択は降伏してきたアテルイの命を助けるかどうかという点。なぜ阿弖流為が命乞いなどをしてきたのか?という考察が面白かった。里中美智子説はアテルイは本来死ぬ気だったが、田村麻呂…

木下昌輝氏の珠玉の文章が光る一冊。『決戦!川中島』

スポンサーリンク // 歴史小説というものはその構造上、結末はあらかじめわかっている。 海外のマイナーな事件を取り上げたものなら別だが、題材が日本史なら、ある人物がどのような結末を迎えるのかは調べればすぐにわかる。 いわば最初から全部ネタバレし…

おんな城主直虎9話「桶狭間に死す」感想:小規模な争いが国衆のリアル

スポンサードリンク // 義元の戦死の場面はどうなることかと思ったら一切描かれず。直盛は自害するが、結局桶狭間の戦闘シーンも殆ど描かれなかった。このドラマは徹頭徹尾、井伊谷を描くという方針で行くらしい。だから井伊谷の外のことは最低限しか描かれ…

大事なことは、自分の欲望の在り処を自分で見つけること

スポンサーリンク // togetter.com 神絵師になれないこと自体は問題ではない 読んだんですが、これ、神絵師になれていない事自体が問題なわけではない、と思います。 1の人は3日で描くのをやめたということは絵がそれほど好きではないのだろうし、2の人につ…

けものフレンズ8話感想:最終回でペパプライブをもう一度見ることはできる?

スポンサーリンク // ペンギンたちのアイドルグループ、ペパプのライブ回。マーゲイからの情報で、ペパプは3代目であることがわかる。ペパプの初代からは、どれくらい時間が経っているのだろうか?ペパプのメンバーの言葉からは、先代のペパプがどういう感じ…

史実の「三国志」について学べるおすすめ本を12冊紹介します。

スポンサーリンク // こういうエントリを読むような方は「三国志にはフィクションである三国志演義と陳寿の書いた正史である三国志が存在して……」などという話はとっくにご存知だと思いますのでそのへんは省略します。 書棚を見たら今まで読んだ三国志本が結…

けものフレンズ7話感想:己が何者か知りたがることがフレンズが「ヒト化」している証拠?

スポンサーリンク // 図書館の「博士」の正体はオフリカオオコノハズクとワシミミズク。 動物クイズの看板を作れるということは、フクロウには文字が読めるということですね。サーバルには読めない。 クイズに全問正解してようやくたどり着いた図書館。 知恵…

『パスタでたどるイタリア史』感想:パスタとイタリアの歴史を両方楽しめる贅沢な一冊。

スポンサーリンク // パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書) posted with カエレバ 池上 俊一 岩波書店 2011-11-18 Amazon 岩波ジュニア新書には名著が多い 岩波ジュニア新書って名著の宝庫なのでは?と最近思っています。 『砂糖の世界史』なんてそ…

綾辻行人『Another エピソードS』感想:さらなる続編はあるのか?

スポンサーリンク // Another エピソードS (角川文庫) posted with カエレバ 綾辻 行人 KADOKAWA/角川書店 2016-06-18 Amazon 今回は前作とは打って変わって賢木晃也の「幽霊」の立場から物語は紡がれる。 正直に言って、この内容は肩透かしだった。 Another…

読まれる記事を書くために必要なのは文章力ではない。

スポンサーリンク // 熱意や文章力が読まれるかどうかの決め手ではない あまり読まれることに貪欲とはいえない僕のような人間でも、時には「こういう文章が読まれる」「人の心を惹きつけるのはこんな文章だ」といった記事を読むことがあります。 アクセスを…

「趙の三大天」李牧の兵法と冒頓単于についてのメモ

スポンサーリンク // キングダム 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) posted with カエレバ 原泰久 集英社 2012-06-22 Amazon 史実でも名称だった李牧 キングダムでは趙の「三大天」の一人ということになっている李牧。 この漫画は1巻しか読んだことがな…

命を繋いだものが勝つ、という生き方もある。佐藤賢一『カペー朝』

スポンサーリンク // カペー朝―フランス王朝史1 (講談社現代新書) posted with カエレバ 佐藤賢一 講談社 2009-07-17 Amazon 野心は一代で達成しなくてもいい 軍師官兵衛の中で一番記憶に残っている人物は荒木村重です。 妻子を置いて城から逃げ出しても、「…

アイヌ民族の歴史と文化について知るならまずはこの一冊。瀬川拓郎『アイヌ学入門』

スポンサーリンク // アイヌ学入門 (講談社現代新書) posted with カエレバ 瀬川 拓郎 講談社 2015-02-19 Amazon 著者の瀬川拓郎氏は今まで何冊かアイヌ関連の書籍を上梓していますが、これが一番わかりやすいと思います。 序章ではアイヌの歴史について簡潔…