明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

kindle unlimitedのおかげでネットから受けるストレスが激減した

「2ヶ月299円」のセール価格につられてkindle unlimitedをはじめて20日が経った。気づいたらネットから受けるストレスが激減していた。いろいろな電子書籍を読みあさっているうちに、ネット上の不快な情報に接することがほぼなくなったせいだ。以前は暇があるとだらだらとツイッターでの議論を見ていたり、話題になっているTogetterまとめを読んだりしていたが、人が議論している場では汚い言葉が飛びかうことも多く、読んだ後かえってストレスが溜まっていることも多かった。そこで有意義なものを読めるかはギャンブルだし、ネットの議論を追いかける刺激ジャンキーのような時間は減らしたいと前々から思っていたが、とくに努力することもなくこの時間をなくすことができていた。

 

 

これもkindle unlimitedで読んだのだが、やめたい行動はこの本では「過剰行動」と定義されている。ネットで不毛な議論を読んで消耗するのは私にとって過剰行動だ。これをどうすればやめられるか。その方法はこの本の第3章で解説されている。過剰行動を減らすポイントはいくつかあるが、そのひとつが「動機付け条件を取りのぞく」だ。つまり過剰行動のメリットをなくすことだが、この中には別のメリット(チェンジ行動)を用意することもふくまれる。禁煙したい人の場合、飴玉や離煙パイプを使うことがチェンジ行動になる。

 

 

私の場合、kindle unlimitedで本を読みあさることが、知らないうちに行動科学でいう「チェンジ行動」になっていた。kindle unlimitedでは光文社古典新訳文庫がたくさん読めるが、ギリシャ哲学やシェイクスピアの戯曲を読むことは(当然のことだが)ネットの議論を読むよりはるかに実りが多いし、外れを引くこともない。古典を直接読むのがむずかしいなら、漫画化されたものや100分de名著などを読めばハードルはだいぶ低くなる。行動科学ではチェンジ行動は過剰行動と同等のメリットを得られるものをさすが、古典を読むのは漫然とネットを読むよりはるかにメリットが大きいという実感があるので、当然こちらに集中することになる。『まんがで身につく続ける技術』には行動を増やしたりやめたりするのに意志や努力は必要ない、と書かれていたが、行動科学を応用すれば、確かに努力なしに過剰行動を減らせるようだ。

 

ネットのストレスを減らせているせいか、主観的にはkindle unlimitedのおかげでデジタルデトックスができているような気分になっている。しかしネットで電子書籍を読みあさりながらデジタルデトックス、というのも妙な話だ。PCから離れなければデジタルデトックスではない。だが電子書籍であれ、読書時間を増やすことでネットを利用するデメリットを減らせているのは確かだ。電子書籍を読むことでブログ記事のネタができるし、記事を書いているうちにますます余計な情報からは離れることになる。

 

問題があるとすれば、あと1ヶ月ほどで2ヶ月299円のキャンペーンが終わってしまうことだ。このあともkindle unlimitedを使い続けるかはわからない。ギリシャ哲学とシェイクスピアと仏典の面白さはもうわかったので、これらの本を紙の書籍で読むのもいいと思うが、電子書籍ならではのメリットもある気がしている。kindleのアプリにずらりと並んだ本のタイトルを見ているだけで読書欲が高まるし、主観では紙の本より電子書籍のほうがすぐ読みはじめられる。ネットを見るのと同じ感覚で読めるせいかもしれない。ということは、電子書籍を読むことも、本質的にはネットジャンキーと変わらないのだろうか。どうせ読まずにいられないなら、少しでも栄養になるものを読みたいものではある。