【試し読み公開】
— 志学社 (@shigaku_sha) 2023年4月4日
ご好評頂いている『完訳 華陽国志』、最初の「巴志」がまるっと読める約30ページ太っ腹の試し読みPDFをご用意致しました! 購入の検討にぜひお読み頂けましたら幸いです!!https://t.co/qD6tTWeoxi
『完訳 華陽国志』のうち30ページほどが志学社のサイトで試し読みできるようになっていた。華陽国志とは巴・蜀・漢中を扱う地誌で、中国版風土記みたいなもの。巴志の部分を読むだけでもこの本の雰囲気がよくわかるので、気になっている方はぜひ読んでみてほしい。
巴志の中には他の史料では読むことのできない記述が多い。たとえば巴には白虎を狩る勇敢な人々がいて、秦末には劉邦につき従い各地で戦功をあげたという。虎射ちを生業とする彼らは劉邦から租税や徭役を免除されており、「白虎復夷」「板楯蛮」などと呼ばれていた。これらは『史記』では得られない情報だ。正史ではわからない異民族の実態を知ることができるのが巴志を読む愉しみのひとつになる。
巴の人々の人となりについては、正直で人情に厚いが、のろまで愚かだという。風俗は素朴で、人々は気の利いたことはいえない。中原から遠いせいだろうか。とはいえ、儒教が浸透して以降、巴は優秀な人材を多数輩出している。前漢の諫議大夫をつとめたびたび天子に諫言した譙玄、司隷校尉となり公明正大な賞罰をおこなった陳禅、広く民衆に恩恵を施した揚州刺史の厳遵など、能力だけでなく人格も優れた人物が巴には多いようだ。
『完訳 華陽国志』の解説部分には「前漢末から魏晋時代に割拠した公孫述、劉焉・劉璋父子、劉備・諸葛亮ら蜀漢の人物、成漢の李特・李雄らについては『後漢書』・『三国志』・『晋書』よりも豊富な材料を提供する」とあり、巴蜀地方に関心がある人、三国志の蜀ファンにとっては待望の完訳といえる。