明晰夢工房

読んだ本の備忘録や日頃思ったこと、感じたことなどなど

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

プロイセンは「移民の作った国」だった。『フリードリヒ大王 祖国と寛容』

スポンサーリンク // プロイセンは宗教に寛容な国家だった 「すべての宗教は等しく、良いものである」 「トルコ人や異教徒が来て入植したいと言うなら、モスクでも教会でも建てよう」 これは現代の欧州の政治家の台詞ではない。 プロイセンの「啓蒙専制君主…

最近、ブログばかり書いてしまう。

今となってはほとんど知る人もいないだろうが、このブログはもともと創作について思うことや小説を書く上での心構えなどをメモするところだった。 別に小説をやめたわけではないので、今でも時折そういうことを書くこともある。 しかし最近は創作の話などよ…

恐山は「死者への想いを預かるロッカー」だ。南直哉『恐山 死者のいる場所』

スポンサーリンク // 恐山には「極楽浜」と呼ばれる場所がある。 硫黄の匂いが立ち込める「地獄谷」や「賽の河原」と呼ばれる荒涼とした風景を抜けると、美しい湖のほとりに白砂の浜があり、数限りない風車が数百メートルにわたって立ち並ぶ。 もともとは、…

貧困、アルコール中毒、ドラッグ……アメリカの「最底辺」で苦悩するネイティブアメリカンを描く一冊。鎌田遵『ネイティブ・アメリカン』

アメリカ社会の「最底辺」に位置するネイティブ・アメリカン これは衝撃的な一冊だ。 居留地では社会への閉塞感からアルコール依存症に苦しむ人が少なくない。 失業率も高く、ナバホ族の37%は貧困線を下回る生活を送っている。 親族にドラッグを売る売人す…

amazonのレビューでは「薄い人」の感想を知ることができない。

スポンサーリンク // モンスター数がかなり減ってしまった、色違いが多い、などなどの理由であまり評判の良くないドラゴンクエストモンスターズジョーカー3。 amazonでの評価も散々です。 そのせいで値崩れを起こしてしまっていますが、たまたま店頭で見かけ…

大河ドラマには出せない黒田官兵衛のブラックな所業を描く小説。葉室麟『風渡る』

スポンサーリンク // 黒田官兵衛と言えば、信長の将来性をいち早く見抜き、主君の小寺政職に毛利ではなく織田に付くように進言した人、というイメージがあるのですが、どうもこうした人間像は小説や大河ドラマで作り上げられたもののようで。 軍師の境遇 新…

室町バーサーカーが江戸時代に消え去った理由とは何か?磯田道史『徳川がつくった先進国日本』

スポンサーリンク // togetter.comこれを読む限り、室町時代ってのはそれはそれは怖い時代だったようで。 下女の商売上のトラブルから町中での喧嘩が始まり、最終的には軍隊同士の衝突まで起きるという地獄絵図のような世界が上記のまとめでは紹介されていま…

『ど根性ガエルの娘』15話を読み、「編集される現実」について考えた。

世の中には、聞くとどうにも心の奥がざわつく言葉がある。 「やらせ」なんてのもその一つだ。 結局、世の中は全部やらせじゃないのか?なんて思ってしまうからだ。 この世界には多くの「感動実話」が流通している。 それらの多くが、嘘ではないにしても事実…

「真田丸ロス」に思う。

スポンサーリンク // 「真田丸ロス」というものがあると聞くけれど、本当にそういう状態に陥ってる人がいるんだろうか? ふとそんなことを思い、ツイッターで「真田丸ロス」で検索してみた。 すると、ハンドルネームが「○○@真田丸ロス」になっている人達が…

ウメハラの言うことなんて聞くな。

一昨日、慶応大学でプロゲーマー・ウメハラの講演会がありまして。 その一部始終がtwitchで中継されてたんですが、いやあ……凄かった。 講演自体もすごく面白かったんだけど、その後の質疑応答コーナーでの回答する時のアドリブ力が本当に凄い。 どうしてこう…

作家もまた「サービス業」である。

出版とはただのビジネスに過ぎない anond.hatelabo.jp 電子書籍か紙の本かみたいな議論にはあまり興味はないんですが、この増田を読んでいて心に残ったのがこの部分。 新刊が出るのもそれが配本されるのも面白い本がでるのも、全部ただの商行為であって、信…

名作RPG「サーク」の攻略本が写した宮崎勤事件当時の世相

ゲームの攻略本に差し込まれたライターの思い 80年台の掉尾を飾るアクションRPGに「サーク」という作品がある。 ファルコムの「イース」としばしば比較される作品だが、快適な操作性やゲームへの没入感を増す見事なBGM、そして作品の核を為す骨太なストーリ…

コンテンツはいつ「終わる」のか。

何をもって「〇〇は終わった」と判断するのか togetter.com 人のコンテンツにオワコンだ何だといいたがる人は単にそう思わせたいだけ、と言うのはこのまとめに書いてあるとおりで、実際には終わったと言われつつ何だかんだと続いていく人もコンテンツもたく…

永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に生きましたレポ』を読んで、「感情貯金」について考えた

スポンサードリンク // 「感情貯金」が足りないとどうなってしまうのか さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 作者: 永田カビ 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2016/06/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (3件) を見る おそらくこれは…

どんな人間でも、小説の主人公たり得る――桜木紫乃『ホテルローヤル』

スポンサーリンク // ホテルローヤル (集英社文庫) 作者: 桜木紫乃 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/06/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (16件) を見る なんとなく気になった本は最近は買うことにしている。 そうした直感がよく当たることが多…

押し寄せる文字の洪水に酔え!大澤めぐみ『おにぎりスタッバー』

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫) 作者: 大澤めぐみ,U35 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2016/12/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 小説には文字しか存在しない。 だからこそ、文章の有難味というものが小説には欲しい。 そ…